小保方さんの最大の強みは「悪魔の証明」


昨日は、STAP細胞論文の理研側の共著者・丹羽仁史さんが会見し、「このような事態になったことを深くおわびしたい」と謝罪しました。明日は小保方晴子さんの会見が予定されていますが、同じように、ぜひ真摯に謝罪をしてほしいです。そして、論文作成において不正を行ってしまった動機をしっかりと語ってほしいです。すでに「悪意のない間違い」と反論のコメントを発表していますが、常識的にみてその言い訳は通りません。研究の根幹にかかわる部分の写真が全く違うものだったのに「悪意のない間違い」とは、見苦しい言い訳です。どういう動機でそのようなことをしたのか、しっかりと説明してほしいです。それが迷惑をかけた科学界、そして全世界に対する誠意ある態度だと思います。それをせずに見苦しい言い訳をしたいのでしたら、明日の記者会見はしない方がよろしいです。

真摯に謝罪をして、沈黙を貫くこと

謝罪
小保方さんがとるべき最良の戦略は、「自分が不正をしてしまったことについて真摯に謝罪をして、その動機を説明し、あとは沈黙を貫くこと」です。なぜなら、小保方さんにも強みがあるのです。それは「悪魔の証明」です。

「悪魔の証明」とは、「悪魔なんて存在しない、ということを証明してみろ!」というように、不可能な証明を要求することです。何かが「存在しない」ということは、証明できないのです。つまり「STAP細胞は存在しない」ということも、証明できないのです。

仮に、今回の研究が全てインチキで、論文を発表した研究チームの実験でもSTAP細胞など確認できていなかったとしても、だからといって「STAP細胞が存在しない」ということが証明されるわけではありません。

そもそもSTAP細胞のアイデアは小保方さんのオリジナルではなく、今回の論文の共著者でもあるハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授が15年前に思いついたものです。当然、バカンティさんも論文撤回に反対しています。共著者全員が同意しなければ論文撤回はできません。オリジナルのアイデアマンであるバカンティさんが撤回するはずがないのですから、小保方さんは大船に乗ったつもりでいたらいいのです。

理研がどんなに圧力をかけようが、バカンティさん側に何か特別な事態が発生しない限り、論文は撤回されないでしょう。論文が撤回されなければ、小保方さんは世紀の大発見をした科学者と認められる権利を有したままです。もし誰かが追試でSTAP細胞を再現してくれたなら、彼女がノーベル賞を受賞することになるでしょう。

信じる力は、周囲が想像する以上に強固なもの

ガッツポーズ
ぼくは、小保方さんが2008年にバカンティさんの下で研究していたときに、このSTAP細胞のアイデアに魅了され、その存在を信じ込んだのだと思っています。科学者って、客観的にデータを集めて、そこから理論を導いているわけではありません。最初は直感なり、想像なり、夢だったり、「これいい! あったらいいな!」というノリだったりで、研究をスタートするものです。

例えば、ベンゼンの分子構造が六角形(ベンゼン環という)であることを発見したアウグスト・ケクレさんは、その構造を夢で思いついたといわれています。一般的には、「蛇が自分の尾をくわえてクルクル回る夢を見て、六角形の環という分子構造に気づいた」と言われていますが、一説には「6人の小人が手をつないで輪になって踊っている夢を見て気づいた」ともいわれています。ともかく、何か実験をして、データを分析して、「これこれこうだから、六角形の環の構造をしているのだ」と論理的に導いたのではなく、夢で気づいて、後で実験して、分析して、「やっぱり六角形で説明したら全てがうまくいくよね」と分かったのです。

つまり、理論なり仮説なりを思いついたり信じ込んだりすることが先で、実験なり検証が後なのです。小保方さんも、何かSTAP細胞に魅かれるものがあったのでしょう。だから、ずっとそればかり研究してきたのです。そして、今もきっとSTAP細胞の存在を信じ続けていると思います。

何かを信じる力って、とても強固です。周囲がその信念を捨てさせようとしても、なかなか難しいです。イエス・キリストが救世主だと信じていた初期のキリスト教徒たちは、ローマ帝国に「ライオンに食われる刑」を宣告されて、「イエスへの信仰を捨てたら助けてやる」と言われてもそれに従わず、笑顔でライオンの餌になっていったといいます。信じる力って、それほど強固なものです。

小保方さんが論文作成上の不正だけではなく、実験さえも不正をしたのか・・・つまり証拠がないのにSTAP細胞があったと結果をでっち上げたのか・・・ということは、現段階では分かりません。

もしかしたら、思い入れが強すぎて、「私が青春を捧げてきたSTAP細胞ちゃんの発見を、誰かに先を越されてはイヤ!」という乙女チックな動機で、まだ確かな証拠がない段階だったのにフライングした(それらしく見せるため写真を差し替えた)のかもしれません。そうではなく、論文の見栄えばかり気にして、「こっちの写真の方がきれいだから」というファッション感覚的に軽率な理由で(それでも不正です)写真を差し替えたのかもしれません。

もちろん、科学者倫理からしたら、どんな理由であれ、不正は不正です。だから、それについては真摯に謝罪したらいいのです。あとは沈黙を貫き通すことです。どんなにすごい科学者であっても、「悪魔の証明」はできません。「STAP細胞は存在しない」ということは、永遠に証明できないのです。

「STAP細胞は存在する」ということは検証できます。ですから、世界中の科学者が何度もトライして、何年経っても「存在すること」が証明できなければ、「やっぱ、存在しないじゃん」と思われ、人々から忘れ去られます。科学上の発見といわれるものの90%以上は、そうやって忘れ去られていくものです。それを甘受するのも、科学者の仕事です。

だからといって、それで「存在しないこと」が証明されたわけではありません。愛するSTAP細胞ちゃんは、いつまでも小保方さんの心の中に生き続けるのです。だから、言い訳はせず、沈黙を貫いてください。それが、科学者のイメージをこれ以上悪くしない、唯一の手段です。お願いします。


“小保方さんの最大の強みは「悪魔の証明」” への5件の返信

  1. 仮説を信じて真面目に実験を繰り返し研究する科学者って、ある意味で真摯な信仰者みたいですね。
    先回は辛口なコメントをしましたが、私も彼女が純粋な動機を正直に話してくれる事を期待したいです。
    先ず心から謝罪して、状況をありのままに告白したら、後は沈黙でもよいと思います。
    醜い言い訳を引き摺って、科学界の信用を失墜させるような事態にだけは陥らないよう祈ります。

    • 他人事ながら、明日の会見までドキドキしてしまいます。科学者同士の泥仕合は見たくありません。小保方さんが大人の対応をしてくれることを願うばかりです。

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