小保方さんの最大の弱みは「実験ノート2冊」


科学大好き人間のぼくとしては、科学のイメージダウンを助長するので、あまりこの問題に触れたくなかったです。しかし、小保方さんが反論を始めてしまったので、これだけは言っておきたいと思いました。メディアにコメントを発表したり、週刊誌で語ったり、理研に不服申し立てをするということせず、しばらく静かにしているべきでした。論文に不正があったことは明らかなのですから、その点について謝罪をして、あとは黙っていることが肝要だと思います。

あまりにも少なすぎます

研究
小保方さんが理研の調査結果に不服を申し立てても、「調査結果が間違っている」ということの立証責任は小保方さんにあるのです。裁判と同じで、訴えた側に立証責任があるのは当然です。では、彼女は立証責任を果たせるのでしょうか?

率直に言って、不可能です。理由は簡単です。実験ノートが3年間で2冊しかないからです。しかも、1冊は「ネイチャー」に投稿するために使用していたようですから、実質的には1冊しかないということになります。これはあまりにも少なすぎます。

ぼくが学生時代の卒研でさえ、1年間で6冊使いました。実験ノートとは普通のノートではなくて、ページが切り取れないようにがっちり糊付けされています。200ページもある分厚いものです。ページ番号もすでに印刷されている高額なものです。当時(約30年前)でも1冊4,000円くらいしました(現在は6,000円くらいするようです)。

「学生が買うにしては高額だな」と思うでしょうが、研究室が買うのであって、学生の出費はありません。ですから、実験ノートの所有権は研究室(学校)にあります。卒業しても、記念に持って帰れません。研究室の書棚に置かれるのです。小保方さんの実験ノートも、理研の書棚にあるのです。つまり実験ノートは「私的」なものではなく、「公的」なものなのです。

なぜ、これだけ頑丈な作りの高額なものを使い、「公的」に扱うのかというと、それが正に今回のようなケースのためだということです。つまり、実験や論文に不正があると疑われたときのために、証拠として残しておくものなのです。

ページが切り取れないようになっているのも、そのため。切り取ったら分かるようにページ番号まで印刷されています。もちろん、ノートの記載には鉛筆はNGです。ボールペンなど、消えないもので書きます。もちろん、手書きです。誤記は線を引いて訂正し、修正液などは使えません。1ページ全てが埋まらずに余白ができて、その日の記載が終わるとしたら、そこに斜線を何本も引いて余白を埋めます。こういうことは、理系の研究室では必ず教え込まれるものです。

これらは全て、後々、データを改竄できないようにするためです。科学界で長年培われてきた伝統です。実験の記録を書いて、日付、天候、気温、湿度、気圧、自分の署名、そして第三者の証人が内容をチェックして署名します。これを毎日書くのです。科学の世界では、これだけ厳密にやっているのです。科学者って、立派でしょ。

1日に1ページしか書かないことなんてなく、たいてい数ページ~十数ページに及びます。ですから、小保方さんの実験ノートが3年間で2冊(実質1冊)というのは、あまりにも少なすぎるのです。

論文撤回の勧告はできても、強要はできない

校閲
理研の調査報告で「実験ノートが3年間で2冊(実質1冊)」ということが判明したときに、科学の世界に詳しい人は「これで小保方さんは何も反論できない」と思ったはずです。ぼくもそう思いました。理由は、上記で説明した通りです。本来、疑惑をかけられたときに自分を弁護してくれるはずの実験ノートが、ほぼ「存在しない」に等しいからです。3年間で実質的に1冊ということは、「ほとんど実験をしていない」ということに等しいのです。

ぼくには、ちょっと信じられません。ほとんど実験をしていないのに、世紀の大発見といわれるようなことが可能でしょうか? 絶対に無理だとは言い切れませんが、限りなくゼロに近いような気もします。つまり、STAP細胞が存在する可能性も、極めて低いように感じます。何度も何度も実験をして、失敗を繰り返して、とうとう成功した・・・というのが普通ではないでしょうか。だとすると、実験ノートは膨大な量になるはずです。それが2冊(実質1冊)というのは、疑惑を深めるには十分すぎるインパクトがあります。

もしかしたら、小保方さんがたくさんの実験ノートを自宅に持ち帰っており、理研の書棚に2冊しかなかった、ということもあり得ます。しかし、それはそれで大問題です。科学者倫理に反します。自宅には第三者の証人がいないのですから、そこで改竄が行われる可能性があるからです。そもそも「公的」なものなのですから、無断で持ち出してはいけません。どこの会社でも、会社の重要書類を持ち出したら懲戒処分ものです。科学者も一緒です。

しかし、こういうことが分かってくると、やはり理研の体制・体質にも問題があったと言わざるを得ません。実験ノートには、必ず第三者証人の署名が必要なのです。毎日書くことが常識の実験ノートなのですから、小保方さんのノートに署名する人(特に上司)は「彼女のノート、かなり少ないな、毎日書いていないな」と気づくべきでしょう。あれだけ少なければ、理研内で話題にならないとおかしいです。

結果的に、こういう騒動になる前に、彼女の実験ノートが極端に少ないことは見過ごされてきたわけですから、理研の幹部にも責任があるはずです。少なくとも、あの由緒ある「ネイチャー」に発表する前くらいは、実験ノートと論文を見比べて確認することを、理研もやるべきだったはずです。ここらへんもしっかりと反省して、処分を受けるべき人は、素直に受けてほしいものです。

小保方さんは「本当にSTAP細胞がある」と信じているのかもしれません。論文の撤回は、最終的には執筆者が決めるべきものなので、誰も強要できません。これも科学界の常識です。なぜかというと、論文を撤回してしまうと、「この研究はなかったこと」になってしまうからです。その後、別の科学者がSTAP細胞を再現して論文を発表したら、その科学者の発見となるのです。STAP細胞発見者がノーベル賞を受賞するとしたら、それは小保方さんではなく、後に論文発表をした科学者の栄誉となってしまうのです。

ですから、小保方さんがSTAP細胞の存在を信じていればいるほど、論文撤回を承認するとは思えません。理研は「撤回の勧告」はできても、強制的に撤回させることはできません。それをやったら、それも科学者倫理に反することになります。論文に不備があったとしても、そこを修正すれば「論文としては」問題ないのです。世紀の大発見であるSTAP細胞の存在を信じている小保方さんにとってみれば、撤回などせず、訂正で済ませたいという気持ちは十二分に理解できます。

現状では、STAP細胞が本当にあったのか、なかったのか、ということは分かっていません。あくまでも論文作成に不正があったこと、実験ノートが少なすぎること、などが判明したにすぎません。そこのところは勘違いしないようにお願いします。


小保方さんの最大の弱みは「実験ノート2冊」” へのコメントが 7 点あります

  1. 僕は門外漢なので断言はできませんが、
    武田先生は、最近は実験ノートは使わないと言っています。
    http://takedanet.com/2014/04/post_7c45.html

    最近はビデオやパソコンが、実験ノート代わりだと言うことですが、違うのでしょうか?

    科学の世界では、誰もが同じ手順で実験をすれば、同じ結果が得られます。
    うそや捏造をすれば、そのうちバレてしまいます。
    僕は小保方さんがうそや捏造をするメリットがなにもないように思えるのです。
    むしろ科学者としての生命を断たれるデメリットしかないと思うのです。
    ですので、小保方さんが故意にうそや捏造しているとはどうしても思えないのです。

    • 実験ノートは「科学界の伝統」に属するものです。いつの時代でも伝統を覆そうとする人はいます。ですから、実験ノートを使っていない科学者がいても、特別おかしくありません。要は、研究にクレームがついたときに、きちっと自分の研究の正当性を証明できる資料を残しておく、ということがポイントです。ご提示の先生の言い分は分かりますが、実験ノートには勝る手段ではないと思いました。電子情報やビデオなどは、簡単に改竄が可能です。

      ぼくも小保方さんが「STAP細胞をでっち上げた」とは、にわかに信じられません。おっしゃるように、メリットとデメリットを天秤にかけると、明らかにデメリットが大きいです。ただし、何か良からぬことをする人は、傍からみていると「何をバカなことやってるの?」と思うくらい、よく考えたらデメリットだらけだと自明なことを、しばしばやってしまうことも事実です。

      科学理論は、追試によって成否が判定されますから、STAP細胞の存在の有無に関しては、もう少し気長に結論を待った方がいいと思います。

      問題は、論文の不正(故意にしろ、うっかりにしろ)と、自身の研究を裏付ける実験ノートがないことです。実験ノートがなくても、それに準じる証拠があったのなら、理研は違う結論を出したはずですから。

      • 返信ありがとうございました^^

        そうですね
        おっしゃるように、STAP細胞の有無は、時間が解決すると思いますので、もう少し気長に待ったほうがよさそうですね

  2. 僕も理系ではないので、このニュースを聞いて釈然としない思いがありました。
    科学に詳しそうな拝志朗さんの記事を読んで、小保方さんは少し往生際が悪いと受け取れます。
    過失か故意に係わらず不備が公然と指摘されてるのですから、先ず素直に謝罪するのが当然の道理だと感じます。
    もし彼女がSTAP細胞の存在に信念を持っていれば、潔く改めて取り組み直す旨を表明すべきだと思います。
    その上で、論文撤回の意見にも言い訳するのなら、まだ話は分かります。
    小保方さんが今の状況で反論するのに対し、穿った見方をすれば、単に過去に注目された栄光の余韻を残しておきたい思いからなのかな?・・・・
    な~んて、想像してしまいます。

    • >単に過去に注目された栄光の余韻を残しておきたい思いからなのかな?・・・・

      こういう思いは、ないのではないかと信じたいです。純粋にSTAP細胞の存在を信じているから、論文撤回勧告に従いたくないのだ、と私は今のところ思っています。

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