メディア戦略に勝利した地球温暖化論者と、それに対抗したアメリカの科学者たちの良心


地球とグラフ地球温暖化騒動の火付け役は、ゴダート宇宙研究所(GISS)の大気学者ジェームズ・ハンセン氏です。1988年、彼は共同研究者6人と科学雑誌『サイエンス』に論文『増大する大気二酸化炭素の気象への影響』を発表しました。

すぐさまハンセン氏は、アメリカ議会に呼ばれて証言を求められました。彼は確信に満ちた表情で、「人間が大気中に排出する二酸化炭素により、地球が温暖化している」と証言しました。

「科学者が国会で堂々と自説の正しさを主張したのだから、間違いなのだろう」とメディアは考え、大々的に報道しました。議会証言翌日のニューヨーク・タイムズでは第1面を飾り、テレビのトップニュースとなって全米と世界に配信されたのです。

つまり、世界中の学者たちが集まって、あらゆるデータを統合、検討の上で、「地球は温暖化している、しかも人為的に排出される二酸化炭素が疑わしい」という方向で意見が一致しつつあったわけではなかったのです。ハンセン氏のメディア戦略の勝利なのです。

そもそも米国議会が証言を求めた理由も、「もし本当なら、人間の経済活動を抑制しなければならない」という政治的理由からです。結局、米国議会はハンセン氏の証言に科学性を認めず、何の対策も打ちませんでした。

それでも世論の方は着実に盛り上がっていきました。「世界が滅亡する」というような恐い話を好むのが、人間だからです。メディアもそういう人間の性癖に便乗して、売り上げを伸ばすのです。ハンセン氏の戦略は、ついに国連を動かし、地球温暖化防止京都会議が開かれたのが1997年でした。ここまで盛り上がったのは、あくまで「民衆の心をつかみたい」という各国政治家の政治的な理由であり、科学者側の盛り上がりではないのです。ここを誤解してはなりません。

ですから、日本では全く報道されませんでしたが、2000年には2万人を超える全米の科学者が「反温暖化署名請願」に加わり、米国議会に京都議定書の批准を拒否するよう要求したのです。米国議会は一部の科学者の意見ではなく、多くの科学者の意見を尊重し、京都議定書から離脱したのです。

ちなみに、この署名請願を率いたのはアメリカ科学アカデミー会長でありロックフェラー大学学長を務めた物理学者フレデリック・サイツ氏です。

米国議会に提出された請願書から抜粋してみましょう。

「地球温暖化仮説は不完全なアイデアに基づいており、人間の生み出す二酸化炭素、メタンその他の温室効果ガスが現在と近い将来、地球大気を破壊的に加熱したり、気象現象を崩壊させる確たる証拠は存在しない」

「気候変動についての研究結果では、二酸化炭素を生み出す炭化水素の人間による利用が有害であるとは認められておらず、むしろ大気中の二酸化炭素の増加は環境にプラスに作用するよい証拠が存在する」

「議定書の内容は世界の国々の技術発展に対し、とりわけ開発途上国の40億人以上の人々を貧困から抜け出すチャンスを提供する技術発展に対して、きわめて否定的な影響を与えることになろう」

地球温暖化仮説を世に広めているのは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国際機関です。ここに属している科学者は約2500人。「反温暖化署名請願」に署名した科学者は2万人超。この差がそのまま「温暖化論vs反温暖化論」の正否に直結するとは言いませんが、歴然とした数の差があることは事実です。

請願書の抜粋の3番目に書かれていることが、アメリカの科学者たちの良心であると思います。開発途上国で貧困に苦しんでいる40億人以上の人々を、さらに苦しめてしまうかもしれないのが、地球温暖化対策になるわけです

地球レベルで物事を成すときには、十分に科学的なコンセンサスを得た上で、慎重に慎重を重ねていかなければなりません。人の命がかかっているからです。「地球を守る」ということと、「開発途上国の子どもたちの命を守る」ということが同義にならないといけません。

自分たちが地球を守ろうとしたことで、アフリカの子どもたちが死ぬようなことになったら、どうでしょうか? 悲しいことだと思います。複雑系である地球では、そういうことも起こり得るのです。いわゆるバタフライ効果・・・ブラジルで蝶が羽ばたいただけで、テキサスで大竜巻が起きるというように、ちょっとしたことが大きな影響を与えることもあるのです。だから慎重にしてほしいのです。


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