YouTubeで起きている言論テロを危惧する


YouTubeで利用停止にされる投稿者が増えて問題になっています。単なる利用規約違反というだけではなさそうな事態を、ぼくも危惧しています。

ユーチューブの保守系チャンネルが相次ぎ閉鎖 「削除の基準、不透明」と批判

動画配信サイト「ユーチューブ」で5月以降、中国や韓国に批判的な保守系動画投稿者の利用停止が相次いでいる。背景には「差別的な動画」への通報運動の盛り上がりがあるが、一方で投稿者らは「差別的発言ではない」「削除基準が不透明」として反発を強めている。

「私は中国や韓国の政府や民族に対して政治的な批判をすることはあるが、出身民族の差別は絶対にしていない。これは言論テロ」。登録者数約15万5千人を数えた動画配信「竹田恒泰(つねやす)チャンネル」を5月に停止された、明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏は、そう憤る。
(中略)
竹田氏によると、ユーチューブでの通報運動は匿名掲示板「5ちゃんねる」で5月半ばに始まり、対象リストや通報の方法などが拡散。7月上旬までに200以上の保守系チャンネルが停止され、22万本以上の動画が削除されたという。

要は、自分たちと反対の立場の意見をつぶそうと、インターネットで呼び掛け、差別的発言という利用規約違反を理由に、大勢で削除要請の通報をYouTubeにしているようです。一方、削除された側は、決して差別的発言をしているわけではないと怒っているわけです。

差別的発言、俗にいうヘイトスピーチというものは、とても判断が難しいと思います。特に、誰が聞いても明らかな、憎悪や軽蔑に満ちあふれた差別的発言ではない場合、差別か否かの判断が困難です。「こういう事実があり、こう考えられるから、これはけしからん」と、一定のデータと論理に基づいて他者を批判する場合、それが差別といえるのか大いに疑問です。竹田恒泰氏のように抗議の声を上げている人たちは、まさにそういう立場でしょう。

一方、削除要請の通報をする人々の心理も分からなくはありません。どんな人間でも、自分の考え方を真っ向から否定する意見を言われると、気分のいいものではありません。例えば、自分が大好きな食べ物を、いろんな理由を付けて「まずい」と批判されたら頭に来ます。こういう意見がネット上に存在するならば消してしまいたいと思っても不思議ではありません。YouTubeなどには通報制度がありますから、そこに苦情を申し入れる気持ちも理解できます。

ただし、匿名掲示板で呼び掛け、徒党を組んで通報するというのはいかがでしょうか。これでは、竹田氏がいうように言論テロと言われても致し方ないと思います。

前述したように、極端で明らかな差別的発言でない限り、差別か否かの線引きは難しいものです。言い換えれば、差別的発言だと判断する基準には、かなり恣意的な部分があるということです。他者を批判していれば、いかようにでも理屈を付けて差別だと判断してしまうことは可能なのです。ですから、大勢の仲間を募って一斉に抗議をすれば、YouTubeなどの管理者のほうも、「こんなに多くの苦情があるなら仕方ないな」と動かざるを得ないでしょう。そこに過激な、脅し文句に近い通報も混じっていたら、なおさらでしょう。管理者としては、トラブルが起きるのは嫌ですから。

要は、数の力で(時には言葉の暴力も加えて)反対者の言論を封殺していると言っても、決して言い過ぎではありません。言論テロという表現は的を射ています。こういう風潮は、憲法で保障された言論の自由を脅かすものだと危惧します。言論には言論で対抗するというのが筋だと思います。


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