厄介者の権力 ~ロシアのウクライナ侵攻~



ロシアがウクライナに侵攻しました。このニュースを聞いて、社長をやっていた時代に読んだ本の内容を思い起こしました。

『組織戦略の考え方 ──企業経営の健全性のために』(著:沼上幹)という本です。タイトルのとおり、企業経営者向けに、組織運営の在り方を説いたものです。会社は人間の集まりですが、国や世界も同じく人の集まりなので、通じる内容があるのだと思います。少し引用してみます。

(引用はじめ)
厄介者が権力をもつというのは逆説的に聞こえるかもしれない。これは「人前で大人げなくすごんだり、大騒ぎすることができる」という育ちの悪さを基礎とする権力である。(中略)

「大人」の世界における「子供」である。あるいは「紳士」の世界における「やくざ」である。(中略)

「ここで事を荒立てては社内に混乱が生じる。こんなくだらないことでアイツと争っても仕方がない。なにせアイツは『子供』なのだから。ここはひとつ、アイツのわがままを通してやっておくか」と育ちの良い「大人」は考える。

育ちの良い優等生の「大人」たちが組織内で多数になると、厄介者の言うことがかなり理不尽であっても、組織として通してしまう場合が出てくる。ひとたび通してしまうと前例になる。少しずつ理不尽さが増えたものでも、徐々に通っていってしまう。知らないうちに、皆が理不尽であることにすら気づかなくなってしまうことさえあり得ないではない。
(引用おわり)

まさに、今のロシア(厄介者)と世界(大人)の関係と一緒です。NATO(北大西洋条約機構)や一部の国の軍隊が、ウクライナを守るためにロシア軍と戦ってあげたいところですが、「ここで事を荒立てては世界に混乱が生じる」と考えてしまいます。なにせロシアは核兵器を持っていますので、ぶち切れて自国に核攻撃を食らったらたまったものではありません。

口では非難しても、心の中では「ここはひとつ、アイツのわがままを通してやっておくか」と育ちの良い「大人」は考えてしまうのです。日本もしかりです。というか、日本は海外派兵すらできない「超育ちの良いおぼっちゃま」ですしね。ロシアのわがままを通してあげちゃうのです。

ですが、本当はこういう姿勢は危険なのです。「ひとたび通してしまうと前例になる」からです。ロシアと並ぶ「ならず者国家」は中国と北朝鮮です。彼らもロシアの成功を見て、「俺らもできるじゃん」と考えます。中国は台湾に侵攻するでしょうし、台湾の次は沖縄を狙うでしょう。北朝鮮も、もっとバンバン、ミサイルを飛ばして、世界からの食糧支援等を引き出すでしょう。

「その手に乗るものか」と、世界が彼らの邪魔をしようとすると、核ミサイルを撃ち込んじゃうのです。それがはったりには見えない、いかれた連中(子供、やくざ)だから怖いのです。だから結局、手が出せない。そういうジレンマを抱えて、育ちの良い優等生の「大人」たち(世界の普通の国々)は、やつらのするままにさせてしまうのです。

あー、いやな世界になったものです。


“厄介者の権力 ~ロシアのウクライナ侵攻~” への2件の返信

  1. いつも視野を広くさせていただいています。
    今回は、いつになく 投げやり ですねえ。
    いつもは最後に 一筋の光 を与えてくださりますが。

    • 投げやりですねえ。この問題は希望が見いだせないからです。よい解決方法がない。残念な限りです。

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