「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」



毎年末、公益財団法人日本漢字能力検定協会が公募している「今年の漢字」で、2017年の第1位は「北」となりました。しかし、ぼくの体感的には「偽」でした。

日本共産党の小池晃書記局長もぼくと同じ体感だったようで、次のように言っています。

共産・小池氏、今年の漢字は「偽」 首相の国会答弁に

(今年を象徴する漢字一文字は?)偽り、偽(にせ)、フェイク。「偽」という字ですね。偽りの答弁、偽りの行政、偽りの外交。

 国会の安倍(晋三)首相の答弁なんていうのは、本当に事実をそらす答弁がずっと続いていたのではないかなと思いますし、官僚が様々に森友問題や加計問題で言ったこと。
(中略)
そういったことが続いた1年だったなと思います。トランプ(米大統領の発言)だってフェイクと言われているわけで、世界中にこういう偽り、フェイクということが広がった一年なのかなと。来年こそは真実の政治を実現する、そういう年にしていきたいなと思います。

小池晃書記局長と体感的な「今年の漢字」が同じだったからといって、ぼくは共産党支持者もしくは共産主義者ではありません。否、むしろ真逆で、ぼくは共産主義が大嫌いです。

この思想自体が「偽」だったことは、多くの共産主義国が崩壊していったことから明らかな歴史的な事実です。数少ない生き残りの中国や北朝鮮だって、基本的人権である言論の自由や信教の自由がなく、極めて好戦的な国です。そんな共産主義を、この日本でいまだに信じている日本共産党なんて大嫌いです。

しかし、社会の矛盾や理不尽さに苦悩したマルクスが、苦労しながら考えに考え抜いた帰着として唱えたものが共産主義なので、鋭い視点を持っていることも事実なんでしょう。一面、真理にも思えることがあって、信奉者が絶えないのでしょう。

中学生の頃に読んだ、ある自称霊能者の本に、地獄の底の底までずっと下りていったら、天国に着いたといった話が書かれていました。共産主義って、こんな感じなのだと思います。地獄のような悲惨な社会をつくりつつ、天国のような素晴らしい世界を標榜しているんでしょう。

共産主義批判はさておき、小池晃書記局長は森友問題や加計問題を引き合いに出していますが、本当は問題などなかった事柄を「問題化」して世論を煽ったこと自体がフェイクニュースではないでしょうか。そのことに鋭く迫っているのが、『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(小川榮太郎著)です。

詳しくは上記書籍を読んでください。朝日新聞社がフェイクニュースをいかに捏造していったか、よく分かります。いまだに安倍総理が不正を働いた具体的・客観的な証拠は出てきていません。加計問題については、加戸守行前愛媛県知事や、原英史・国家戦略特区ワーキンググループ委員などの国会答弁を聞けば(YouTubeで検索してください)、フェイクニュースの可能性大です。

インターネットが普及する前の時代であれば、新聞やテレビなどのマスメディアが報じたものしか判断材料がありませんでした。今もそうであったら、誰もがこれらの問題をマスメディアが報じたように信じていたでしょう。加戸氏や原氏の証言など、マスメディアではほとんど取り上げていなかったからです。しかし、今はこれだけインターネットが普及していますから、ちょっと検索すれば彼らの証言も動画で見ることができます。

若者世代はインターネットを普通に使いこなします。前回の衆院選で自民党が若者世代に支持された理由は、既存マスメディに影響されなかった故の当然の帰着だと思います。加戸氏や原氏の証言など、マスメディの論調にそぐわない国会答弁は無視して報道しないということも見え見えの時代になったので、若者世代はマスメディアに影響されなくなった(むしろ批判的に見るようになった)のです。

朝日新聞社は、『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』の著者である小川榮太郎氏と出版元の飛鳥新社を提訴しました。

森友・加計「虚報と決めつけ」 朝日新聞が検証本著者の小川栄太郎氏を提訴

小川氏は全面的に争う姿勢を見せた上で、「言論機関が個人に対し、好意的でない文章を出したからと提訴するのは事実上の言論弾圧だ。朝日新聞の世論に対する影響力は高く、力の行使については政治権力と同じようなおもんばかりがなければならない。言論機関は言論の場で白黒つけるべきだ」と話している。

まさに小川氏の言うとおりです。朝日新聞社の提訴は、言論機関としての「負け」を認めたようなものです。小川氏の本が何部売れたか知りませんが、朝日新聞の発行部数(625万9,000部)には到底及ばないことは明らかです。影響力では圧倒的優位に立っているのですから、紙面で反論していけばいいだけの話です。裁判所に頼るというのは、言論では勝てないということの証左です。すなわち、小川氏の本の信憑性が高いということです。

フランスの哲学者ヴォルテール(本名フランソワ=マリー・アルエ)の有名な言葉に、「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」というものがあります。これこそ言論の自由の神髄です。朝日新聞社が小川氏に対して行った提訴は、このヴォルテールの精神から完全に逸脱しています。自分たちの意見に反対するものは裁判に掛けて言論を封殺しようとするようでは、言論機関としての矜持のかけらも見受けられません。

ただし、ぼくも『朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』というタイトルはいかがなものかと思います。朝日新聞が犯した戦後最大級の報道犯罪は、従軍慰安婦報道だと思います。

記事を訂正、おわびしご説明します 朝日新聞社 慰安婦報道、第三者委報告書
朝日新聞の慰安婦報道問題

加えて、ぼくが「偽」という字が今年の漢字だと感じた出来事は、7月の東京都議選で都民ファーストの会が大勝したこと、小池百合子都知事が豊洲市場問題をぐちゃぐちゃにしたことなどです。小池百合子都知事はもちろん「偽」の政治家だと思いますが、やはり彼女を持ち上げたマスメディアも「偽」です。こういうことがない2018年であってほしいと思います。

それでは、皆さま、よいお年をお迎えください。


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