われら庶民にCO2排出の責任を押し付ける環境省の欺瞞



国のお役人は全く困ったものだと再認識した記事です。

<家庭のCO2排出>高齢世帯多く 古い家電使用が影響

環境省は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の家庭での排出実態について、全国約1万3000世帯を対象に調査した結果を公表した。消費電力が少ない省エネ家電への買い替えが進まないなどの理由で、65歳以上の高齢者が暮らす世帯で排出が多い傾向が浮かんだ。
(中略)
調査は昨年度、対象世帯で電気やガスなどの毎月の使用量を調べて年間のCO2排出量を計算。家電製品の購入時期も尋ねた。その結果、単身の高齢者世帯の排出量は高齢者を含まない世帯の約1.3倍で、高齢者夫婦のみ世帯の排出量は、若年または中年の夫婦の世帯の約1.1倍だった。
(中略)
調査では、高齢者世帯の方が在宅時間が長く、CO2排出が多くなるとも分析。環境省の担当者は「高齢者には家電を大事に使う人も多いが、温暖化対策の観点からは、うまく買い替えを促す政策も必要だ」と話す。

そもそもこの記事のタイトルにも入っている「家庭のCO2排出」という考え方が欺瞞に満ちています。実際に家庭からCO2排出されているわけではないからです。記事にも「対象世帯で電気やガスなどの毎月の使用量を調べて年間のCO2排出量を計算」とあるとおり、家庭が使った電気やガスの量から計算しているに過ぎないからです。ちなみに計算式は下記のとおりです。

   使用量 × CO2排出係数 = CO2排出量

CO2排出係数は、電気0.551、都市ガス2.23、プロパンガス6.0、ガソリン2.32、などとエネルギーごとに決まっています。それらを家庭の使用量ごとに掛け算しているだけの、子どもの遊びみたいなものです。「家庭のCO2排出」などというと、いかにも家庭からモクモクとCO2が出ているように感じられますが、そんなことは全くないのです。

電気やガスをつくるまでの過程で、既にCO2は出てしまっているのです。つまり、今この瞬間に日本の全世帯で電気やガスを使わなくなったとしても、今まで電気やガスをつくるまでの過程で排出されたCO2が空気中を漂っているのです。

ですから、われら庶民の家庭にはCO2排出の責任などありません。皆無です。電気会社、ガス会社など、エネルギーをつくっている者たちに全責任があるのです。われら庶民は、つくられたエネルギーを使うしか手段がないのです。そんなわれらに責任を押し付けて、やれ、節電しろだの、高齢者世帯は電化製品を買い換えろだの、責任転嫁も甚だしい話です。

このように、環境省など、お国の役人はしばしな欺瞞に満ちたことを言うので注意しましょう。われわれは科学リテラシー、メディアリテラシーを持って、これらの情報に接することが肝要です。


“われら庶民にCO2排出の責任を押し付ける環境省の欺瞞” への6件の返信

  1. 何年も大切に乗っている愛車の自動車税が低排出ガス対応車より高いというのが腹立たしいです。

  2. 最近、真鍋淑郎研究員が「気候モデルの手法を確立し、大気中の二酸化炭素の濃度上昇が温暖化につながることを実証した」ことでノーベル賞を受けたニュースがありました。
    メディアも国民もCo2排出が気候変動、温暖化の原因と疑いなく報じ、信じていますが、本当にそうなのか、昨今のニュースや研究結果を見ながら京橋さんの現在の私見を伺いたいです。

    • コメントありがとうございます。
      ぼくは、人為的二酸化炭素排出による地球温暖化は起きていないだろうと思っています。長い地球の歴史の中では「温暖期」にありますが、その温かくなっている原因が、人が排出する二酸化炭素だとは、さらさら思っておりません。詳しくは拙稿『地球温暖化は、人類に与えられた10万年に1回の恵み』に書いたとおりです。
      http://movingcreation.com/global_warming_once_hundred_thousand_years/

      真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞を最初に聞いたときは「何かの冗談だろう」と思っていました。そもそもモデルを作ってノーベル物理学賞って、聞いたことがありません。昨今の温暖化対策を巡る国際パワーゲームとリンクした受賞であることは間違いないでしょう。思いっ切り政治的なにおいがする受賞です。

      ちなみに、ノーベル賞だって絶対正しいわけではありません。1926年に、デンマークのヨハネス・フィビゲルは、ガンを人工的に作ったということでノーベル生理学・医学賞を受賞しましたが、後にその研究が間違いだと明らかになりました。今回の受賞も、未来はそうなると思います。

      また「二酸化炭素の濃度上昇が温暖化につながることを実証した」なんて言っていますが、これは日本の記事があぽんです。実証などされていません。原文は「for the physical modelling of Earth’s climate, quantifying variability and reliably predicting global warming」ですから、「地球の気候の物理的モデリング、変動性の定量化、地球温暖化の確実な予測」が正しい翻訳です。「実証」ではなく「予測」です。「確実な」が付いていますが、「予測」は「予測」です。

  3. 早速の見識、ありがとうございます。
    勉強になります。
    m(__)m

    温暖化の実証と聞いて
    どう、実証したんだろうと違和感がありましたが
    すっきりしました。予測ですよねー(>_<)

    温室効果ガスによる温暖化が絶対に正しい、実証されたこととして、疑問を呈するメディアや言論がほとんど目につかないのが不安です。
    (何が正しいのかは別として)

    疑似科学に踊らされている感じがして
    本当に気持ちが悪いです。

    国家の環境問題、エネルギー問題の政策も良からぬ方向に行かなければいいのですが。。。。
    今の日本で政治家が「温暖化はそこまで心配しなくていいのでは?」なんて言えば袋叩きでしょうね。。。。

    常識化したことに対する反論や議論を自由にできる社会、それを提起するメディアであって欲しいです。

    • 「日本の政治家」に限って言えば、もっと「日本」を見てほしいですね。むろん国際協調は大切なんですが、「日本」の現状はしっかり把握して政治活動してほしいです。

      仮に全世界的にCO2排出量を削減しなければならないのだとしたら、まずは中国とアメリカがやらなければ駄目です。世界全体のCO2排出量(2018年度)のうち、中国が28.4%、アメリカが17.7%で断トツです。

      日本はたった3.2%です。日本が今後一切CO2を出さなくても、全世界で4%弱しか減らないんです。はっきり言って意味ないです。中国やアメリカに「まずおまえらが減らせよ」と迫れる日本の政治家がいないのが悲しいですね。

      コロナワクチンもしかり。日本では200人に1人しか感染しないのにもかかわらず、大流行している国と同じようにワクチンを国民に打たせる愚策しかできない。何とも、まあ、政治家の劣化が激しくて残念です。

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