専門家の言説は、眉に唾を付けて聞くべし



何らかの出来事があったときにメディアに頻繁に登場したり、公的機関の委員会などの構成員になったりする「専門家」と称される人の言説は、常に疑う姿勢を持って聞くべきだと思える好事例がありました。

オミクロン株に専門家が感染 初期症状から重症化 どう感じた?(NHK 2022年3月14日 19時28分)

ミクロン株に感染して重症化し、人工呼吸器が必要になった専門家がいます。新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博 教授(61)です。
(中略)
感染症学が専門で、去年までは感染症学会の理事長もつとめた舘田さん。大学で教えるだけでなく、厚生労働省の専門家会合や新型コロナ対策に当たる政府の分科会に出て意見を述べ、助言を行うなど、多忙な日々を送っていました。

舘田さんが重症化したのには、1つ、要因があります。実は、アレルギー体質で、新型コロナのワクチンを接種できていなかったのです。
(中略)
「アレルギーがある体質で、ワクチンを受けられてなかったんですね。ですから当然コロナにかかってしまうと、重症化してしまうリスクが高いとわかっていました。この後どういうふうな形で治療が行われて、その治療に(自分の体が)反応してくれるのか、やっぱり不安ですよね。不安な状況というのがありました」

舘田教授は、国民に対してコロナワクチンの接種を強く勧めていた「専門家」です。そういう人がワクチン接種をしていなかったというのです。しかも、その理由がアレルギー体質だというから驚きです。

そもそも日本アレルギー学会でも、大抵のアレルギーであれば、コロナワクチン接種を奨励しています。

新型コロナワクチン接種について(日本アレルギー学会)1ページ

全般的に見て、ワクチン接種により得られる感染予防効果と、起こりうる有害事象のリスクを比較すると、接種で得られる効果のほうがはるかに大きいと考えます。
(中略)
アレルギー疾患の患者さんについても、ほとんどの方でワクチン接種は可能です。
(中略)
ただし、これまでに何らかの物質でアナフィラキシーなどを含む重いアレルギー反応を起こしたことがある方は、接種直後に体調が悪くなったときに速やかに対応ができるよう、接種後は通常より長く(30 分間)接種会場で待機して、変化が起きないかの観察を行います。

接種後30分の間で変化があれば対応できるよう、万全の対応ができるようになっているから、皆さん接種を受けましょうと言っていたはずではなかったでしょうか。

新型コロナワクチン接種後の副反応について(小金井市 2021年5月27日)

ワクチン接種後は、そのまま接種会場で15分または30分待機して経過をみることとなっています。万が一、アナフィラキシーが起きた場合も、どの接種会場でも、医療従事者が必要な対応をできるよう万全の準備をしています。

政府の分科会に属して、先頭を切ってこういうことを推進してきたはずの舘田教授が、アレルギー体質だからという理由で接種していなかったというのは、いかがなものでしょうか。

ただし、下記の人には、接種は推奨されていません。

新型コロナワクチン接種について(日本アレルギー学会)2ページ

過去に新型コロナワクチン(mRNAワクチン)に対してアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした方や、同ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)に対して重いアレルギー反応を起こしたことがある方への接種は推奨しません。

舘田教授はそもそもワクチン接種をしていないので、「過去に新型コロナワクチン(mRNAワクチン)に対してアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こした方」には該当しません。したがって、彼の話を信ずるならばPEGへのアレルギー体質だということになるでしょう。

しかし、PEGアレルギーというものは、極めてまれなのです。

新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療(日本アレルギー学会 令和3 年3月1日) 5~6ページ

PEG に対するアレルギーやアナフィラキシーはこれまでに海外、本邦ともに複数報告がある。非常に広範にPEGが使用されていることを考慮すると、決して頻度は高いと言えない
(中略)
未だ PEG 特異的 IgE 抗体の測定系は確立していないので、アナフィラキシー誘発機序や感作の実態解明などは今後の課題である。

高い頻度でもなく、かつ実態も分かっていない珍しいPEGアレルギーを舘田教授が持っているということは、にわかに信じられません。そもそもPEGは界面活性剤・潤滑剤・医薬製剤・化粧品などに幅広く利用される物なので、これにアレルギーがあるというと生活はかなり大変でしょう。

むろん、舘田教授がこのアレルギーではないとは断言できませんが、要はどんなアレルギーを持っているのかということは、きちんと説明しないといけないでしょう。だって、このワクチン接種を強く勧めている「専門家」なのですから。

ともかくワクチンの効果を信じているからこそ国民に強く接種を勧めているわけです。そのワクチン効果よりも、アレルギーによるデメリットのほうが怖いから、強く接種を勧める立場であるにもかかわらず、接種しなかったというわけですから、詳しい説明は必要です。

たとえるなら、料理の専門家が、自分では決して食べない料理をメディアで強く勧めるであれば、自分では食べない理由をきちんと説明しなければ信頼されません。それと似たようなものです。「俺は嫌だけれども、一般国民は接種しろ」では、お話になりませんからね。

そもそもPEGが使われているのはファイザーとモデルナのmRNAワクチンであり、アストラゼネカのDNAワクチンにはPEGが使われていません。舘田教授は、なぜアストラゼネカのワクチンのほうも接種していなかったのでしょうか。ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンも全部NGだというアレルギーは何なのでしょうか。

mRNAワクチンもDNAワクチンもNGだというのであれば、それはどんなアレルギーなのか。そして、そのアレルギーを持った人がワクチン接種をすると、どういう危険性があるのか。政府の委員にもなって国民に接種を強く勧める立場の人間には、説明する責任があります。彼と同じようなアレルギーを持っている人は、彼が接種をしなかった理由を聞いたら「接種しない」という選択肢が生まれるからです。

接種をするかしないかは本人の自由だと、政府も言っています。だったら、選択する側に十分な情報を出すべきです。その中心的立場にいた舘田教授が接種をしなかったのですから、その理由を詳細に語る義務があるのは当然。国民が選択する上で必要な情報提供のはずです。十分な情報を与えないで、自分だけ危険を回避するなど、特に「専門家」であればあってはならないことです。

しかし、このNHKでの「アレルギーがある体質で、ワクチンを受けられてなかったんですね」発言があってから2カ月、いまだにどんなアレルギーで、何が危険だったから接種しなかったかという説明は、舘田教授からありません。

われわれ国民がこの事例から学ぶべきことは、専門家と称する人間の言説は眉に唾を付けて聞くべきだということと、自分で情報を入力して、よく考えて物事を判断するということです。専門家の言うことだから大丈夫と、無条件に信じることはやめるべきです。

専門家だって人間です。いろんな事情で、言っていることとやっていることが伴わないこともあります。自分がやれないことを他人に勧めているかもしれないという疑う姿勢を常に持ち続けて、為政者や専門家に騙されない賢い国民になりましょう。


“専門家の言説は、眉に唾を付けて聞くべし” への2件の返信

  1. いつも為になる発信をありがとうございます。

    これはひどい。

    確かに、TVに登場する「専門家」なる方々が
    〇〇に詳しい・・・と紹介されますが、その
    〇〇が一般化されていないニュースの題材
    だったりすると、単なる「オタク」に過ぎない
    と思うのです。「ロシアに詳しい・・・・」と
    いう人々が出ていますが、実際は「ロシアの
    〇〇に詳しい」わけで、ロシアに関して何でも
    詳しいわけではないですよね。

    そんな「専門家」も瞬時にネットで本当の
    姿がさらされたり、反対意見が拡散されたり。

    「何が真実か」というよりも前に、テレビは
    もっと客観的事実のみを報道してほしいものです。

    放送作家の原稿を語っているだけの芸能人や
    芸人はいらないですね。

    • >放送作家の原稿を語っているだけの芸能人や
      芸人はいらないですね。

      まあ、放送作家の原稿を語っているという「芸」を披露しているということなんでしょうね。つまらん芸風だけど。

      あと、元議員とか、元メダリストとか、元警察官とかが、専門家ヅラしてコメントするのも気持ち悪いですね。テレビが再就職先みたいで嫌ですね。

      テレビはオワコン(終わったコンテンツ)と言われるゆえんですね。

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