地球に置いてきぼりにされてしまうタイムマシンと幽体離脱の悲劇


星の軌跡
最近、高1の次男が霊の話に凝っています。結構怖がりのくせに、いろいろな情報を仕入れては家族に説明しています。

先日は幽体離脱の話をしていました。幽体離脱については皆さまもご存じだと思います。幽体(霊体や魂など呼び名はいろいろあります)が体から抜け出て、自分の体を上から自分で見たりするといいます。手術中に幽体離脱をして、自分の心臓の様子を見て、後にそれを医師に話して、その正確な証言に医師が驚いた、という話もあるそうです。

ぼくは科学者の端くれなので、こういう証言だけで「はい、そうですか」と信じるということはありません。まあ、死んだ後もみんなの魂は生きていて、死んだ父や祖父や祖母、弟などに会いたいとは思いますのが、それとこれ(実際に霊の世界があるのか否か)とは話が別です。

次男に聞いてみました。

「その幽体っていうものは、物質なのかい?」

「物質じゃないんだって。だから、壁を通り抜けたりできるんだよ」

「う~ん、それは論理的な弱点があるなあ」

「どこがおかしいの?」

「まあ、タイムマシンの論理的な弱点と同じだね」

タイムマシンとは何かということも、皆さまにご説明する必要もないでしょう。時間旅行する機械、過去や未来に行ける乗り物です。しかし、仮に時間を移動できる乗り物ができたとしても、しばしば小説や映画に出てくるように、そうそう簡単にはいかないのです。

その理由は、地球が動いているからです。地球は太陽の周りを秒速30キロで飛んでいます。公転軌道に対する傾きも、約4万1000年の周期で22度〜24度の範囲で変化しています。しかも、地球が属している太陽系自体も、秒速217キロ(マッハ638)で銀河系内を公転しています。要は、地球は猛スピードで宇宙空間を複雑な経路で飛んでいるのです。

こんなに複雑な動きを、猛スピードで行っているのが、地球や太陽系です。

だから、タイムマシンが過去、もしくは未来にいくときは、その時代その時刻の地球上の正確な位置に移動しなければならないのです。下手をしたら、江戸時代に戻ったはいいけれども、何もない宇宙空間に居て、即座に窒息死してしまうかもしれません。西暦3000年の未来に行ったはいいけれども、太陽の中に居て溶けてしまうかもしれません。悲劇です。

地球や太陽系などの動きは、あくまでも現在の科学で分かっている範囲で推測されるものです。もしかしたら、過去や未来は違う動き(速度が少し違っているなど)であったかもしれません。このように考えると、タイムマシンが特定の時刻の特定の場所に着くことが不可能に近いことだと分かります。

ぼくらは地球が動いていることを知識では知っていますが、そんなに猛スピードで複雑な動きをしているとは感じていません。それは、地球の重力によって地球に固定されて、地球と一緒に飛んでいるからです。締め切った航空機の中にいても、飛んでいることを感じなくなってしまうのと同じです。

こんなことを次男に説明したら、質問されました。

「それと幽体離脱と、どういう関係があるの?」

「つまり、幽体が物質ではないとしたら、地球の重力が働かないということなのだ。重力というのは、質量がある物質にしか働かないからな」

「だから?」

「幽体が物質でないとすると、体から抜け出た瞬間に、体は猛スピードで飛んでいってしまうんだよ。幽体には地球の重力が働かないから、地球に置いてきぼりにされてしまうんだ」

「う~ん、確かにそうだねえ。じゃあ、幽体も物質で、地球の重力が働くとすれば、幽体離脱の証言と矛盾はしないね」

「それはそうだが、幽体が肉眼では見えないとか、ふわふわ浮いて飛べるとか、壁をすり抜けるとか、そういうことが説明できないだろう」

「そうだよねえ・・・」

「まずは、科学をもっと勉強してみることだな。急がば回れだぞ。もしかしたら、将来、幽体を科学的に証明してノーベル賞を取れるかもしれないぞ」

あまり乗り気ではない顔でした。でも、興味があることを出発点として勉強していくことは重要です。大発見をした科学者はみんなそうです。未来の大科学者になってほしいなあ。

ちなみに、ぼくは、幽体が重力の働く物質であるという説には無理があると思っています。理由は簡単で、こんなに身近でいつの世でも関心が持たれてきた物質がいまだに発見されないなんて、考えにくいです。

例えば、酸素や水素など、目には見えないし、触ることもできない物だって発見されているのです。もし幽体が物質であれば、目に見えなくても、触ることができなくても、人々の関心があるものなのだから、とっくの昔に発見されていると思います。


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