ホッケースティック曲線論争に見る地球温暖化仮説の人間模様


ホッケースティック曲線
地球温暖化仮説の推進役である科学者に、ペンシルバニア州立大学のマイケル・マンがいます。彼を一躍有名にしたものは、たった1枚のグラフでした。(上図)

このグラフは、横軸に年代、縦軸に「1961年~90年の平均気温からのズレ」(単純に「気温」だと考えて結構です)を示しています。現代にたどり着く直前になって、気温は急激に上昇しています。なだらかな曲線(直線に近い)から急激に曲がっている形がホッケーのスティックに似ていることから、このグラフは「ホッケースティック曲線」と呼ばれるようになりました。

マンは次のように述べました。

「この急カーブは19世紀以降の地球温暖化を物語っており、このままでは地球は悲劇的な事態に陥る。ただちに化石燃料の使用を減らして二酸化炭素の排出を抑えるべきである」

衝撃的な主張と、「ホッケースティック曲線」というユニークな命名が功を奏して、このグラフはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書で何回も引用されるようになりました。そして、さらにマン自身が2001年からIPCC報告書の執筆者に選ばれるようになったのです。

ところが、このグラフに疑問を抱いた共和党議員らが、グラフのもとになったデータの公開を要求しました。マンは「科学者に対する政治家の脅迫だ」と、この要求を拒否しました。科学界も、一端はマンの拒否を擁護しましたが、これで問題は収拾しませんでした。

今度は、民間企業の鉱物研究者であるスティーブン・マッキンタイアが、「マンのグラフは、私のデータを歪曲して偏向した結論を導き出している」と述べたのです。マッキンタイアのデータから、10~14世紀の温暖な時代とその直後の寒冷な時代のデータが削除されて、ホッケースティック曲線が描かれていたのです。

要は、地球温暖化仮説を広めたいマンにとって、現代に至るまでの長い年代・・・ホッケースティックの柄に相当する部分は、なだらかな変化であってほしかったのです。現代になって、急激に気温の変化が起きてほしかったのです。だから、10~14世紀の急激な気温変化のデータを、故意に抜き取ってしまったのです。

マンはマッキンタイアの主張に抵抗しましたが、2004年末、ドイツのハンブルク大学ハンス・フォン・シュトルヒ教授らのチームが、「マンがホッケースティック曲線を作るために用いた過去のデータは、非常にいい加減であることを突き止めた」と、有力な科学雑誌「サイエンス」誌上で報告しました。

カナダの政府機関エンヴァイロメント・カナダの統計学者フランシス・ツヴィアズも、「マンは何もないデータの中からホッケースティック曲線を恣意的に作り出した」と述べました。

「これが科学者のやることか」とがっかりするお方もおられるでしょうが、科学者だって人間です。こんなことをしてでも、自分の学説を有名にしたいと思うものなのです。

IPCCは1988年、地球温暖化についての科学的な知見を評価・報告するために設立された国連機関で、世界有数の科学者や専門家が参加していると言われています。このホッケースティック曲線論争で判明したことは、そのIPCCにチェック機能がないということです。こんなにいい加減なホッケースティック曲線を、何度も報告書に引用していたのですから・・・。

2007年、IPCCはアル・ゴア元アメリカ副大統領と共にノーベル平和賞を受賞しました。ノーベル賞の選考委員会にも、やはりチェック機能がないのかもしれません。

もっと心配なことは、日本のメディアの姿勢です。ホッケースティック曲線論争が欧米で起きていることを、ひと言も語らずに、あたかも地球温暖化仮説が真実であるかのように報道していることです。両論併記という報道の原則を守らない日本のメディアに幻滅します。

アメリカが京都議定書に批准しなかったのは、科学者の間で地球温暖化をめぐって論争が起きていたからです。真偽が分からぬ学説を根拠に、経済活動を抑制することは政治家の良心に反するからです。日本では、そんな論争が起きていることも知らずに、政治家を筆頭に地球温暖化仮説を信じ込んでいます。

少なくとも、アメリカの政治家は、日本の政治家よりも立派だと思います。


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