霊を科学する(1)随伴現象説が一般常識



4年前に書いた記事「霊が写真に写らないわけを科学する」にコメントがついて、少しやりとりをしていたら楽しくなってきたので、しばらく霊についてぼくが考えていることを書いていこうと思います。

しかし、貧乏暇なしで仕事のほうが忙しく、このブログは長い間、開店休業状態のようになっています。1カ月に1回更新を何とか死守しているありさまです。そんなわけで、このシリーズがいつまで続くのかも分かりませんが、まあ、気長にお付き合いくださいませ。

それと、ぼくは理系なものですから、霊について考える上でも、どちらかというと宗教的にではなく、科学的になりますので、その点もご了承ください。

さて、まず霊の定義です。一般的なコンセンサスとしては、肉体が死んでも死なないで残るものが霊で、その霊が行く世界が霊界(死後の世界)だということでしょう。

そして、これも一般的な考えですが、ぼくならばぼくの肉体が死んだとして、霊だけになったとしても「ぼく(京橋拝志朗)だ」という自覚を持って、ぼくが培った人格や記憶などを持って霊界に行くということになっています。

すると、霊と心は同じものか、一方が一方を含んだものと考えるのが論理的です。なぜなら、まだ肉体が死んでいない現在、ぼくだという自覚や人格・記憶などを持っているのは心だからです。つまり、簡単に言い切ってしまうと(完全に正しいとは言えずとも)肉体が死んでも心は残っており、それが霊となって霊界に行くということが言えます。

そうすると、まずは心の正体を突き止めたほうがいいです。心とは何でしょう。それは脳が生み出しているものだ、と考える人が多いのではないでしょうか。実際に脳の研究に携わる科学者たちは、心の全ての働きを脳内の物質的な現象として説明しようとしてきました。

脳の機能をつかさどっている最小単位の存在は、ニューロンと呼ばれる神経細胞です。ニューロンも、体の中の他の細胞と同様にタンパク質から構成されています。そのタンパク質は、アミノ酸という分子から構成されており、アミノ酸は炭素という原子が中心となって構成されています。つまり、脳といえども、他の物質とまったく変わることがないわけです。

従って、「このニューロンはこのように活動し、あのニューロンはこのように活動する・・・」と記述すること、つまり方程式をつくることで、心の全てが解明できると考えられてきました。このような考え方を随伴現象説といいます。つまり、「脳の機能の最小単位・ニューロンの活動に随伴して(つき従って)心が生じる」というわけです。

この随伴現象説を前提として脳と心の研究を行う学問分野は、認知脳科学と呼ばれています。実は、この認知脳科学の歴史はまだ浅く、1980年代後半に誕生したものです。この認知脳科学が解明した脳の仕組みは、次のようなものでした。

ニューロンは、大脳皮質に140億個あると推定されます。そして、1個のニューロンが1万個くらいの他のニューロンと結合しており、1個のニューロンに電気信号が生じると(これを発火と呼んでいる)、これが伝わって他のニューロンがさらに発火する、というようにして情報が伝達していることが分かりました。

このニューロンの発火の正体である電気信号を調べてみると、パルス波でした。パルス波とは情報が出るか出ないか、ゼロか1か、といったもの、いわゆる今流行りのデジタル信号です。パルス波による情報の伝達方法は、たとえ雑音が混じって波形が変化しても、本質的には影響がないので、正確な情報が伝えられるという利点があります。

脳には、このようなデジタル信号を発生するニューロンが、満遍なく張り巡らされているわけです。つまり脳は正確な情報を伝える、アミノ酸で構成されたデジタル・コンピューターだといえます。また、このデジタル信号は、体全体に配線された神経回路によって、およそ秒速1メートルで伝達されることも分かりました。

このように認知脳科学は、脳の仕組みを分子レベルで把握することに成功しました。従って、当初は「心の全てはニューロンの発火で説明できる!」と自信満々の研究者たちで、あふれかえりました。しかし現在は、少し事情が変わってきています。研究が進むにつれて次々と見い出される難問に、頭を抱えているのです。

つまり、一般常識である随伴現象説は、完全に証明された仮説ではないということです。

次回からは、随伴現象説を悩ます難問を紹介します。


霊を科学する(1)随伴現象説が一般常識” へのコメントが 3 点あります

  1. お疲れ様です。待ってました・・・霊界のお話ですね。
    京橋先生のお話は筋道をたどるので文系脳でも理解
    しやすいので大変助かります。

    科学者の武田邦彦先生はご存知ですよね。

    その先生が「オカルトを科学する」というテーマでのお話が
    ありました。
    https://www.youtube.com/watch?v=ndeVTZGUx74
    虎の門ニュースの17分40秒あたりからです。
    京橋先生のお話の方がわかりやすい・・・というか。

    これからを楽しみにしています。

    • コメントありがとうございます。

      武田邦彦先生の話は面白いですね。ぼくも好きです。ただし、根底の科学哲学的な考え方(科学観)はぼくと違うのですが・・・。根っこが違うということ。

      それでも、根っこ以外の幹・枝・葉などは共通するところも多いので、好きな学者の一人です。

  2. ピンバック: 霊を科学する(2)ゾンビ問題 – ∂世界/∂x = 感動

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