プラズマクラスターはシャープだけ


今年で20歳になる長男が小学校6年生のときに、「プラズマクラスターって新型インフルエンザもやっつけるって本当?」と尋ねられました。テレビCMで「プラズマクラスターはシャープだけ」と何度もやっているからでした。

内心、「あ~、嫌な質問だなぁ・・・」と思いました。そうです。ぼくがこういう質問に答えると、どうしても専門的になってしまい、最後には子どもたちに「テレビはうそつき」というイメージを与えてしまうからです。

拙著でも書いたとおり、マイナスイオンという言葉は学術用語ではなく、家電メーカーが作り出した商業用語でした。プラズマクラスターという言葉も同じ。シャープのニュースリリースの注釈欄に、小さく次のように書いてあります。

※1 プラズマクラスター、プラズマクラスターイオンおよびPlasmaclusterはシャープ株式会社の商標です。

要は、プラズマクラスターという言葉は科学者が認定したものではなく、シャープという企業が商売のために作り出したキャッチコピーだということ。このような、いかにも科学的っぽいネーミングはやめてほしいと思います。科学界で認められた商品だと勘違いされてしまいます。(まあ、それを狙っているのでしょうが・・・)

ニュースリリースの詳細ページを読むと、ウイルスに効いたという実験結果が出ておりますが、非常に限られた条件下の実験であって、科学的にはあまり意味を持ちません。むろん、無意味だとも言いませんし、うそだとも言いません。しかし、科学的ではありません。(科学的ではない=反証試験にパスしていない)。

そのページには、こう書いてあります。

高濃度プラズマクラスターイオン発生デバイスを用いて、イオン(濃度約30万個/cm3)を発生させ、付着新型H1N1インフルエンザウイルス(プラスチック製シャーレにウイルス液を滴下)に一定時間照射しました。

この30万個というのが少な過ぎます。1cm3の空間に30万個しかないんです。こんな濃度で効果が現れるとしたら、サリンよりも強力なガスとなってしまいます。

同じページの下に、プラズマクラスターイオンの発生メカニズムが説明されています。これは、針のようにとがった導体の先に高電圧をかけたとき放電する「コロナ放電」を利用しており、他のマイナスイオン家電と仕組みは同じです。つまるところ、プラズマクラスターイオンとは、マイナスイオンと同じ。単なる用語の言い換えに過ぎません。コロナ放電は副産物としてオゾンを発生させます。ウイルスが死んだのはオゾンのせいかもしれません。

とまあ、こんな説明を小6の息子にしてもチンプンカンプンなので、次のように言っておきました。

「プラズマクラスターのテレビCMで、どんな歌を歌ってる?」

「プラズマクラスターはシャープだけ」

「そうなんだよ。プラズマクラスターっていうのは、まだ科学者が確認していない未知のものなんだ。『シャープだけ』が確認したものなんだよ」

「じゃあ、大発見だね」

「科学者が証明すればね」

「まだ証明されていないの?」

「そう、だからCMで何度も何度も、プラズマクラスターは『シャープだけ』って言っているんだよ」

「そうか。まだ『シャープだけ』しか『ある』と思っていないからだね」

「そういうこと」

「シャープはすごいね。あるかどうか分からないものを、みんなが『ある』と信じ込まないように、何度も注意をしているんだね」

「ま、まあね・・・」

「すごいなあ、シャープって。ぼく、大きくなったらシャープに入ろうかな」

「ま、まあ、頑張りなさい」

このように子どもの頃からぼくの話に付き合ってきた息子は、現在、理系の学校で学んでいますが、もうシャープを目指してはいないようです。


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