高校生でも分かる、理研が小保方さんだけに責任を押し付ける理由


記事「小保方さん、チェックメイト!」でもリンクを貼っておきましたが、「研究不正再発防止のための改革委員会」による「研究不正再発防止のための提言書」には、とても衝撃的なことがいくつも書かれています。この提言書の中身について、メディアではあまり詳しく解説していないのが残念です。だからぼくが解説するんですけど…。本日は、提言書から読み解ける「理研が小保方さんだけに責任を押し付ける理由」を、高校生に分かるレベルで書いてみます。

本当は嫌だった第三者委員会の設置

会議室
まず、「研究不正再発防止のための改革委員会」とはどんなものかと言いますと、理研以外の人たちのみで構成される第三者委員会です。理研の規則に従って、研究不正があったときに設置されるものです。

外部の人が客観的に調べて提言をまとめますから、当然厳しい結果になります。理研はこんな委員会ができるなんて本当は嫌だったでしょうが、自分たちの組織の規則で設置が義務付けられているのだから仕方ないです。

ちなみに委員は下記の通りです。

【委員長】
  岸輝雄 東京大学 名誉教授
【委員長代理】
  間島進吾 中央大学商学部 教授、公認会計士
【委員】
  市川家國 信州大学医学部 特任教授
  塩見美喜子東京大学大学院理学系研究科 教授
  竹岡八重子 光和総合法律事務所 弁護士
  中村征樹 大阪大学全学教育推進機構 准教授

この委員会が出した結論を要約すれば、次のようになります。なお、下記は理研全体について語っているというよりも、小保方さんが属していた理研内の発生・再生科学総合研究センター(CDB)を指しています。

1.通常の手順を省略して小保方さんを採用した。
2.生データの検討を省略してSTAP論文を作成した。
3.小保方さんの極めてずさんなデータ記録・管理を許容した。
4.こんな組織は解体・廃止して出直すべきだ。

やるべきことをやっていない

採点
上記の要約をみれば、理研(狭くはCDB)という組織の体質がよく分かります。「やるべきことをやっていない」ということです。独立行政法人とはいえ公的な機関なのですから、これではいかんでしょう。

2と3については、今回の一連の騒動を見ていれば誰でも気づくことです。小保方さんの実験ノートをチェックしていたら、2と3は簡単に防ぐことができたはずです。科学にとっては生命線であるデータについて、これだけグチャグチャな扱いでは、科学を扱う組織の体をなしていません。

ともかく、2と3は騒動が起きてから容易に想像できた内容なのですが、1については意外でした。この提言書が発表されなければ知り得なかった内容です。「ここまで腐っていたのか」と絶句しました。要約すると、下記の通りです。

CDBは新任の研究室主宰者(PI)の公募を開始した。
非公式な打ち合わせで小保方さんが候補となり、彼女に応募するよう打診した。
小保方さんは応募の意向を示したが、書類の提出が締切日に間に合わなかった。
CDBは面接当日、応募書類を受け取った。
さらにこの段階では、応募に必要な推薦書が添付されていなかった。
それにもかかわらず、小保方さんの採用を事実上内定した。
通常PIの候補者に対して行っている英語によるセミナーも省略した。

こういう経緯を明らかにした後、提言書では下記のように断罪しています。

小保方氏の採用は、客観的資料を基に本人の資質と過去の研究活動の内容を精査することなく決定されたもの、と言える。そもそもCDBの側から小保方氏に応募を打診したことも含め、一連の経過を見ると、小保方氏のRUL(*)への採用は、最初からほぼ決まっていたもの、と評価せざるをえない。(中略)

小保方氏をRULに採用することにより、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの強い動機に導かれて小保方氏を採用した可能性がきわめて高い。(中略)

小保方氏がPIとして率いる研究ユニットはCDBでは下層に位置するものの、国立大学法人大学院においては准教授クラスが運営する研究部門(講座)に匹敵する。そのようなハイレベルの研究ユニットを運営するPIとしてのスタンダード域に達していない研究者を、職権により杜撰なプロセスを以て採用に加担した、竹市センター長、西川副センター長(当時)、相澤副センター長(当時)をはじめとする理研CDBのトップの責任は極めて重いと言わざるをえない。

(*)RUL:研究ユニットリーダー

要は「その程度」の組織

変顔
つまり、こういうことです。理研は職員を公募したのですが、それは公的機関としてのアリバイ作りであって、実質は「小保方さんの採用」が最初から決まっていたということです。山中教授のiPS細胞研究を凌駕したいというライバル心、虚栄心、ひいては国からの予算獲得というカネ目的という、ドロドロとした動機があったということです。

普通の就職試験を考えてみてください。提出書類の締め切りを守れなかったら、その時点でアウトです。ましてや面接当日に「はい、持って来ました~」と言ったら、「あんた何様?」と門前払いです。ところが小保方さんはそれで許されたということは、公募は最初から「できレース」だったわけです。

これは、同じ公募に募集して来た人たちへの背信行為に等しいです。希望を抱いて応募した人たちの心を踏みにじる行為です。国立大学の准教授に相当する立場の採用がこんな感じなのですから、憤りを通り越してあきれてしまいます。

組織自体がこのような不純な動機を抱き、アンフェアな背信行為で採用したRULを中心に研究したって、結果が伴うわけがありません。というか、仮にSTAP細胞が本物だったとしても、こんな不純・不正行為で発見されたとしたら、STAP細胞の方がかわいそうです。

このような不純な動機で採用した小保方さんだから、彼女の研究にあまり干渉できなかったのでしょう。だからこそ、いざ彼女の不正が発覚したら、彼女1人に責任を押し付けて追い出すのでしょう。要は「その程度」の組織だということです。自己保身の幹部が部下を利用しては捨てる、無責任体質が浸み付いた腐れ組織です。

提言書が結論付けているように、こんな組織は解体・廃止して出直すべきです。


高校生でも分かる、理研が小保方さんだけに責任を押し付ける理由” へのコメントが 4 点あります

  1. なるほど、なるほど
    小保方さんも問題のある人だったかも知れないけど、
    理研も別な問題が大きかったということですね。
    わかりやすく解説していただきありがとうございます。

    • たけるさん。
      たいていの問題は、誰か1人悪いから起きるものではなく、組織なり集団という複雑系だから生じるものです。小保方さんだけに原因を押し付けては問題解決にはなりません。

  2. そもそも彼女を採用する経緯と過程が、こんなデタラメ状態だったのに呆れました。 この不始末から騒動を招いたものようなものでしょう。
    社会に謝罪もせず小保方さん個人に責任を被せようとする、理研の体質の方がより問題だと感じます。
    こんな研究所は、一旦解体整理すべきだと私も思います。
    巷の風評や政治的策略に流されない、真摯な科学研究者を育み集わせる規範と精神を植え付けて、再生して欲しいものです。

    • 未来太陽さん。
      おっしゃる通り、最初のボタンがかけ間違っていたんでしょうね。初期値の微妙な変化が、結果に甚大な影響を及ぼす・・・バタフライ効果(複雑系の科学)をまさに証明したようなものです。

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