再生可能エネルギーなんて欺瞞です


太陽と空
太陽光、風力、水力などから得られるエネルギーが、再生可能エネルギーと呼ばれています。人をばかにしたネーミングです。再生可能なエネルギーなど、あろうはずがありません。全てのエネルギーは再生不可能エネルギーです。

再生可能エネルギーの本来の意味は「枯渇しないエネルギー」というものでした。石炭や石油など、掘削量に限界があるものが「枯渇性エネルギー」と呼ばれており、その対義語として「再生可能エネルギー」が登場したのです。

しかし、再生可能エネルギーというと、誤解を招きやすいです。実際にテレビのキャスターが、「太陽光や風力は、人間がいくら使っても自然から無尽蔵に与えられますから、自然に優しい再生可能な、理想的なエネルギー源ですね~」と語っているのを目の当たりにしました。思わず、「ちゃんと学校で物理学を勉強したのかよぉ~」と叫んでしまいました。

自然界にはエネルギー保存の法則という、厳然たる法則が存在します。例えば、太陽光エネルギーを基にして発電をすれば、発電によって得られたエネルギーの分だけ、もともとの太陽光エネルギーは減少します。反応の始めと終わりでは、必ずエネルギーの総和は等しくなるのです。

簡単に言えば、「決してエネルギーを得することはない」というわけです。100の太陽光エネルギーを使って、40の電気エネルギーを得たら、自然界に残るのは60の太陽光エネルギーなのです。

再生可能エネルギーというネーミングは、「100の太陽光エネルギーを使って、40の電気エネルギーを得ても、自然界に残るのは100の太陽光エネルギーだ」と言っているように誤解します。失われた40の太陽光エネルギーは、決して再生しません。

エネルギー保存の法則によって明確に言えることは、「人間が太陽光で電気を得ようとすればするほど、自然界から太陽光エネルギーを奪うことになる」ということです。全然、自然に優しくありません。

原発を全廃または縮小した分の電力を太陽光発電でまかなおうとすれば、太陽光パネルを設置するために広大な土地が必要です。その土地は当然、日陰になります。多くの動植物から太陽光エネルギーを奪うことになるのです。その結果、多くの動植物が死に絶えるのです。

風力発電も同じです。風力発電所の風下では、風が弱まります。「風車を回したくらいで、風が弱まるもんか」という考えは、間違いです。電力に変換されたエネルギー分だけ、風力が減衰するのです。実際に風力発電所の周辺では、風が弱くなっていることが観測されています。業界では常識です。

また、発電すると必ず熱も発生します。これは、どんな発電でも同じです。必ず電気エネルギーと共に熱エネルギーが発生するのです。従って、風力発電所の風下では、生暖かい風がゆっくり吹くことになります。

風は、無駄に吹いているわけではありません。例えば、花粉を運んで植物の受粉を促します。ひんやりした風が吹くから、植物の葉から水分が蒸発散して成長を促進します。生暖かく弱い風が吹けば、風下の植物はたちまち死に絶えるでしょう。風力発電所を増やせば増やすほど、植物が消えていくのです。

水力発電も同じ。発電所の下流では、水の流れが弱まります。しかも、発電時に出る熱も下流に放出されます。つまり、生暖かい水が、ゆっくりと流れるのです。冷たい清流を好む淡水魚たちは、たちまち死に絶えます。

もっと怖いことは、太陽、風、水は、気象に直結したものだということです。太陽光、風力、水力などから得られるエネルギーを電力に変えれば変えるほど、気象に影響を与えてしまうのです。風や河川の流れが弱まったところに、発電時の熱が空中と水中に放出されるわけですから、今よりもヒートアイランド現象(人間社会から出る熱で気温が高くなり、ゲリラ豪雨が増える)が強くなるでしょう。

原子力発電は、確かに事故が起きたときには深刻な影響を与えます。しかし、安全に管理することは技術的に可能です。福島原発の事故は、安全設計に問題があったのです。安全な管理さえできれば、狭い敷地で発電できますので、広大な敷地を必要とする太陽光・風力・水力発電よりも自然に優しいということになります。

おっと、勘違いしないでください。ぼくは原発反対派です。あんな危険なものを、地震・火山・台風などの災害が多い日本に建てるべきではないという立場です。しかし、安全設計がしっかりできていれば、太陽光・風力・水力発電よりも自然に優しいことは明らかです。

そして、もし原発の安全設計に確信があるのであれば、田舎に造るのではなく、東京や大阪などの大都市に造ればいいのです。なぜなら、電気をたくさん使う所に建てたほうが、送電線によるロスを防ぐことができるからです。送電線が長いほど、電気は無駄になります。立地条件としては、最低限、冷却用の水が供給できる海や川のそばであればいいです。東京湾や多摩川沿い、大阪湾や淀川沿いに造ったらいいのです。

「もし福島原発のような事故が大都市で起きたらどうするのだ!」

そういうお叱りはあるでしょう。しかし、福島で原発事故が起きたら仕方ないが、東京で起きたら駄目だという理由なんてないでしょう。人々の健康や生活の安全は、日本全国平等に確保されるべきです。そうであるならば、電力をたくさん使う都市が、そのためのリスクも負うというのが当たり前でしょう。リスクは田舎に押し付け、自分は電気の恩恵を受けてぬくぬくしているのでは、特権階級と変わりません。

ポイントは、何事もメリットとデメリットをしっかりと把握して、情報を開示して周辺住民との話し合いを経て、どんな発電所にするか決めることです。いわゆる再生可能エネルギーに依存した社会になれば、放射線からの脅威はなくなるかもしれませんが、貴重な自然を再生不可能にしてしまうでしょう。


“再生可能エネルギーなんて欺瞞です” への8件の返信

  1. 風は、無駄に吹いているわけではありません・・・花粉を運んで植物の受粉を促します

    無駄に吹いてた風を植物が利用したのではないでしょうか?

    環境に適応して進化したものが生き残っているのでは

    • 今ある生態系を指して、風は無駄に吹いているわけではないと書きました。今ある生態系を壊すことになるということを意味しています。

    • コメントありがとうございます。
      影響は出るでしょう。そのパネルの下に当たる地表(あるいは海面)は日陰になるわけですから、気象に影響を与えるはずです。

  2. 40の電気エネルギーを使って水をお湯に変えれば自然界に40の熱エネルギーを返せますよね?
    車を動かしても最終的には摩擦熱や音になって自然に帰るのでは?
    エネルギーは保存されますからね。

    • コメントありがとうございます。
      熱力学第1法則(エネルギー保存則)がありますから、どんな仕事をしてもエネルギーの総和は等しくなりますね。
      ただし、熱力学第2法則(エントロピー増大則)がありますから、仕事をした後はエネルギーの質が低下します。
      ご指摘の例では、自然界に帰った40の熱エネルギーは、もはや使い物にならず、宇宙空間に捨てるしかありません。

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