環境にためになっていないレジ袋追放運動


買い物
レジ袋は日本で年間300億枚も使用されます。これは石油から作られます。買い物から家に帰れば、レジ袋は小さなゴミ袋として使用されます。そのままでは自治体が回収してくれないので、指定の大きなゴミ袋に入れて捨てます。

次第に「ゴミの二重梱包になっている、石油という資源の無駄遣いだ」と言われ始め、「レジ袋を追放し、エコバックを持ち歩いて買い物をしよう」と自治体や大型スーパーや環境団体の大合唱が始まりました。

結論から申せば、レジ袋は資源の無駄遣いなどではありません。全く逆で、資源の有効利用です。レジ袋を追放したからといって、石油の使用量が減るわけではありません。

石油からは、ガソリン、重油、軽油、ナフサ(エチレン)などの製品が製造されます。レジ袋はナフサから加工されるものです。石油から生まれるそれぞれの製品を有効に使っているのです。レジ袋をなくしたとしても、他のガソリンや重油や軽油なども同時に削減しない限り、石油使用量の減少につながらないのです。

レジ袋を廃止しても、エコバックを新たに作るわけです。エコバックなどの商品に使われるのはポリエステルという合成繊維であって、これはナフサの中でも芳香族系のBTX製品から作られます。レジ袋は、ナフサの中のオレフィン系製品です。レジ袋を追放しても、エコバックでナフサを使用するのです。

エコバックはファッション性なども要求されますので、「デザインが古くなったから」、「汚くなったから」と1年くらいで買い替えられるでしょう。レジ袋の削減で減るナフサの使用量と、エコバックで増えるナフサの使用量を、ちゃんと計算している自治体や大型スーパーや環境団体には、お目にかかったことがありません。要は、雰囲気で「エコだ、エコだ」と言っているだけなのです。

大型スーパーなどは、今までお金を払って仕入れていたレジ袋が廃止され、代わりにエコバックや家庭用のゴミ袋を売ってお金を儲けられるわけですから、レジ袋追放運動に躍起になるのは当然です。損するのは、ぼくら消費者だけです。「環境のため」と言っておきながら、実はエコバックメーカーやゴミ袋メーカー、それを販売する大型スーパーなどを潤わせる「経済対策」に過ぎないわけです。

クールビズでも、被服業界がしこたま儲けたそうです。服の原料は石油製品のナフサであるし、工場は石油を燃やす火力発電所から送られてくる電力で稼働しています。「環境のため」だと謳ったクールビズも、石油をふんだんに使って作られたのです。どこがエコなのでしょうか?

環境問題にかこつけて、お金もうけをたくらむ人々が多いですから、だまされないようにしてください。


“環境にためになっていないレジ袋追放運動” への2件の返信

  1. いつも楽しみに読ませていただいています。

    わが県では「レジ袋廃止運動」なるものを「県」が率先して行っています。
    かの知事のライフワークのような印象です。廃止した小売店には、
    補助があるような、ないような。
    で、この記事をその広報室にお知らせしてもよいでしょうか。

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