完璧なリサイクル社会をつくるには、地球の循環システムを賢く利用すること


家族・指
40億年間、地球が自滅せずにいられた理由は開放系だからです。系とは科学用語で、「システム」のことです。開放系に対して、閉鎖系があります。両者とも読んで字のごとく、開いたシステムと閉じたシステムです。

開放系では、エネルギーの出入りがあります。そのため、エントロピーが増大しません。エントロピーとは「でたらめさの尺度」や「質の悪いエネルギー」とたとえたりします。もう一つのたとえ方として、エントロピーはゴミだとも言えます。要は、「もう利用することができないもの」がエントロピーです。

閉鎖系ではエネルギーの出入りがありません。そのため、エントロピーが増大します。つまり、系の中にゴミがたまり続ける状態になるということです。

地球は開放系ですから、ゴミを捨てています。もしそれが成されていなければ、時々メディアで報じられるゴミ屋敷のようなありさまに、地球全体がなってしまうわけです。

開放系では、エントロピーが減少します。これはつまり、系の外にゴミを捨てられるという状態です。普通の家はゴミをちゃんと捨てる開放系ですから、ゴミ屋敷のようになりません。地球もそれと同じで、ゴミを外に捨てているのです。外とはすなわち宇宙空間です。

宇宙は今でも膨張し続けています。そうです。地球という開放系には、いつまでもどこまでも広がる宇宙空間という無限のゴミ捨て場が用意されているのです。自然界の絶妙さには、驚嘆せざるを得ません。

地球は、宇宙空間にどのようなゴミを捨てているのでしょうか。地球に流入してくるエネルギーは太陽光です。このエネルギーを利用して、地球はさまざまな営みを行います。物質は最終的に土へ帰り、微生物に分解されて養分となり、再び植物・動物へと利用されていきます。地球上では、物質のリサイクルは完璧に行われているわけです。

しかし、物質が分解されたりする際に、エネルギーの一部は熱エネルギーに変換されます。この最終的に排出される熱エネルギーは、使い物になりません。これが地球のゴミです。地球は、使い物にならなくなった熱エネルギーを宇宙空間に放出することで、エントロピー増大を防いでいるのです。

いくら温室効果ガスが増えても、ブロックされる熱の量は限界があります。無制限ではありません。スポンジが無制限に水を吸収できないのと同じです。地球温暖化仮説は、この辺の原理を無視しています。地球のゴミ捨ては確実に行われます。安心してください。

つまり、地球は完璧なリサイクル社会になっているのです。

ぼくら人間は、このシステムを手本とすることが大切です。つまり、ゴミは捨てることです。今しきりに行われているリサイクル運動は、ゴミを捨てない、ゴミを再利用するという方向に重点が置かれます。これでは地球がゴミ屋敷になります。

例えば、ペットボトルのリサイクルは、「600円の人手と石油を使って、3円でしか売れない不純物だらけのペットフレーク」を作っているにすぎません。ペットフレークというのは細かく砕いた材料にすぎませんから、それから商品にするにはさらに人手と石油が必要です。ものすごい資源の無駄遣い、高コスト商品開発なのです。

それよりも、使用済みのペットボトルは燃やしてしまったほうが良いです。ペットボトルは石油から作られているので、よく燃えます。発電に使ったら良いです。

燃やされたペットボトルは、二酸化炭素と水蒸気と熱に分解されます。このうちの二つ、二酸化炭素と水蒸気は、植物や動物に吸収されて、地球本来の循環に組み込まれます。二酸化炭素が増えて温暖化が起きるという心配は、過度にする必要はないと思います。

もう一つのゴミである熱は、開放系である地球のゴミ捨て行為によって、宇宙空間に放出されます。

ゴミは燃やして、地球の循環システムを賢く利用すること。これこそ完璧なリサイクル社会です。

なお、ペットボトルのような石油製品ではないゴミは、燃やすと有害物質を発生する場合があるので、焼却炉の工夫が必要です。現在の公共団体の焼却炉は、ダイオキシン騒動のときに規制が厳しくなったおかげで、有害物質をほとんど排出しないものになっていますので、ほぼ安心です。


“完璧なリサイクル社会をつくるには、地球の循環システムを賢く利用すること” への2件の返信

  1. とても興味深い内容ですね。
    特に、ペットボトルのリサイクルは驚きました。衣類などに再生されていると
    聞いていますが、莫大な経費がかかっていたのですね。
    私の住んでいる地域では、ビニール製品を分別して回収していますが、
    それを固形燃料にして隣の県に販売している・・・との噂もあります。

    質問が2点あります。

    ①この最終的に排出される熱エネルギーは、使い物になりません。
    これは、どのような状態を示していますか?地熱発電・・・などありますが、
    その熱エネルギーは「地熱」などになっているのではないですか?

    ②使い物にならなくなった熱エネルギーを宇宙空間に放出することで
    高度が高くなると気温が下がり、成層圏・・・大気圏などが地上の熱を
    放出しないようにしているのですよね。宇宙空間への放出・・・という
    事が、どうもイメージとしてつかめないのですが。

    レベルの低い質問ですみません。

    • ①について。
      本文で「物質が分解されたりする際に、エネルギーの一部は熱エネルギーに変換されます。この最終的に排出される熱エネルギーは、使い物になりません」と書きました。このときの熱エネルギーは地熱とは違います。

      エネルギーには質があるのです。その質を示すのがエントロピーと言っていいです。質の良いエネルギーは「エントロピーが小さい」、質の悪いエネルギーは「エントロピーが大きい」となります。

      地熱だとかガソリンなどは、質が良いエネルギーなので、「使い物になる」のです。つまり「仕事」をすることができます。ところが、地熱発電をしたとき出てくる排熱だとか、ガソリンエンジンから出てくる排気ガスの熱などは、「使い物にならない」質の悪いエネルギーなのです。もう仕事ができない熱エネルギーということです。

      ②について。
      地球から宇宙空間へ熱が出るのは、赤外線放射といって、長波長である赤外線が出ていく現象です。ですから、高い高度の温度は関係ないです。赤外線は「真空が揺れる波」なので、真空があれば進んでいけます。

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