ツバルの危機に対して最も必要な支援は、CO2対策ではなく高度な土木技術である


水没した森林
南太平洋の島国ツバルは、地球温暖化の恐怖のシンボルに祭り上げられました。家の中まで水浸しになっている映像が、かつてテレビで繰り返し放送され、人々に「温暖化で海面が上昇している」という恐怖を与えました。

そのような誤解をとくために、まず基礎知識を知ってください。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国際機関では、地球温暖化のシナリオをいくつか提示しています。IPCCが2014年にまとめた第5次評価報告書の中で、最も悲観的なRCP8.5シナリオでは、2100年に45~82cmの海面上昇が予測されています。

海面の82cm上昇とは、驚くべきことでしょうか。まったく驚くことではありません。気象庁のホームページにいけば、さまざまな場所の潮位データが公開されているので、ぜひ見てください。

例えば、下のグラフは今年1月の那覇における潮位の変化です。干潮と満潮の最大水位差は、216cmです。地球では毎日のように、これだけの潮位変化が生じているのです。82cmなんて、全然たいしたことではありません。しかも、この82cmという値は、最も悲観的なシナリオ。数々のシナリオの平均値では46cm、最も低い見積りではわずか26cmです。

むろん、IPCCがいう82cm上昇とは、ベースラインのことです。RCP8.5シナリオが的中すれば、満潮時には今より海面が82cm上昇するわけです。でも、それは今から86年後のことです。

「86年後のことだからといって安心できるか!」

そういうご意見はごもっともです。しかし、ぼくは心配しません。82cmくらいの満潮水位上昇なら、86年もあれば堤防の改修工事で十分しのげます。実際に、100年間で260cm(82cmの3.2倍!)も海面ベースラインが上昇したのにもかかわらず、水没していない都市があります。それは日本の大都市、大阪です。下のグラフがそのデータです。これも気象庁が公表しているものです。

海面は世界中につながっていますから、地球温暖化が原因であるならば全世界の沿岸で海面が上昇するはずです。では、なぜ大阪だけが、こんなに海面が上昇したのでしょうか? 原因は地盤沈下です。地下水を過剰に汲み上げてしまったために、地面が沈んでいったのです。

そうです。海面上昇といっても、2種類あるのです。

1)海の水が増えて、海面が上昇する。
2)海面水位は変わらず、陸地のほうが沈む。

もうお分かりでしょう。ツバルの場合も、2)のパターンなのです。実際に、オーストラリアのフリンダーズ大学にある国立研究所が10年間、ツバルを含む島嶼各地に潮位観測器を設置していますが、海面上昇は起きていないと報告しています。

ツバルは環礁、つまりサンゴ礁でできています。サンゴ礁は石灰岩。石灰岩は水に溶けます。特に海水は二酸化炭素濃度が高いために、石灰岩をよく溶かします。

ツバルでは、島の中のあちこちで、海水が混じった地下水が湧き出しています。地下に海水が浸入しているのです。ということは、地下の石灰岩が海水で溶かされていることになります。島の土台そのものがスカスカになっているのです。島全体が骨粗鬆症にかかっているようなものなのです。その結果、島の重量によって地下の空洞化した部分が徐々に押し潰され、地盤沈下が起きているのです。海面が上がっているのではなく、地面が下がっているのです。

また、太平洋戦争当時、日本軍を追い出したアメリカ軍が太平洋の島々を占領し、盛んにサンゴ礁を埋め立てて飛行場にしました。戦時下での整地作業は急いで行われたため、平常時の作業に比べて極めて不十分なものでした。これも地盤沈下の一因となっています。

地球温暖化仮説のシンボルに祭り上げられているツバルを、ぼくはとても気の毒に思います。ツバルの水没危機に対する真の支援は、二酸化炭素の排出量削減ではありません。先進国が保有している高度な土木技術によって、土質を改良し、整地をやり直し、地盤沈下を防ぐこと。そして、堤防の設置です。


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