分かっているつもり、分かっているふりはやめて、謙虚になりましょう。



新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う騒動と、地球温暖化の騒動を見ていると、人間の傲慢さを感じざるを得ません。ウイルスや環境の軽視という意味ではなく、「知」に対する傲慢さを憂いています。

科学は、近代科学と現代科学に分けられます。17世紀のガリレオ・ケプラー・ニュートンから始まり19世紀のアインシュタインまでの科学が近代科学で、それ以降が現代科学です。

近代科学の代表的な考え方が単純系、現代科学の代表的な考え方が複雑系です。「系」とはシステムを意味します。つまり近代科学は自然界を単純なシステムと見なして説明し、現代科学は自然界を複雑なシステムと見なして説明します。

近代科学では、自然界を単純系として捉えてきましたが、実際の自然現象は複雑です。単純にモデル化し、公式を作り、計算するという手法で、自然界を語ることはできません。そこで、複雑な自然を単純化せず、複雑なままで解析してみようという複雑系の科学が登場したわけです。

複雑系の「複雑」という表現は、単に要素の数が多いという意味ではありません。単に多いだけならば、それぞれの要素に分けて根気よく研究すれば、いつかは全体のシステムの仕組みは解明できます。それは単純系の考え方です。複雑系とは、そのようなシステムとは異なります。

英語で考えた方が分かりやすいです。複雑という日本語を英語で表現する場合には、「complicated」と「complex」があります。「complicated」とは「ごちゃごちゃした」という意味です。単に要素が多いという状態は、この「complicated」に当たります。

しかし、複雑系は英語で「complex system(コンプレックス・システム)」と表現されます。そもそも「complex」という英語は、ラテン語の「complexus」を語源としています。「com」は「共に」という意味、「plexus」は「織り込まれた」という意味です。つまり、現代科学が説くコンプレックス・システム、複雑系とは、次のようなものです。

「さまざまな要素が共に織り込まれ、各要素が互いに影響を及ぼし合っているシステム」

複雑系の科学では、宇宙全体が織物のように絡み合ったシステムになっていると考えるのです。織物の糸がほつれたとき、不用意に引っ張ると、思いもよらないところまでしわが寄ったりしてしまいます。1本の糸が、さまざまな場所まで織り込まれているからです。自然界もそのようになっています。

例えば、天気予報がしばしば外れる理由は、織物のような複雑系である自然を、単純系に置き換えて予測しているからだといえます。そのことを端的に示している、有名な話があります。アメリカの気象学者ローレンツが発見したバタフライ効果です。これは、「ブラジルで一匹の蝶が羽ばたくと、テキサスで大竜巻が起こる」というものです。

「そんなことがあるわけないだろう」と思われるでしょう。しかし、気象学で用いられる乱流モデルを解析してみると、初期値が微妙に異なるだけで結果に甚大な影響を与えることが導かれるのです。つまり、一匹の蝶の羽ばたきほどの小さな動きも、大気の変動の要因になっているのです。

そんなに複雑なんだったら、簡単に自然界の仕組みなんて理解できないのではないかと思う人もいるでしょう。そのとおりです。簡単には分からないのです。要は、人間は自然界について、まだ完全には分かっていないのです。

全て分かっていないにもかかわらず、一部分かっているから全部分かった気になる、もしくは分かっているふりをしているということが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う騒動と地球温暖化の騒動に、如実に表れています。

例えば、今なぜ日本で新型コロナウイルスの感染が沈静化しているかも分かっていないし、逆になぜ諸外国で感染が拡大しているのかも分かっていません。ワクチンを接種した後に死亡した人が日本では1,312人(10月3日現在)いますが、その人たちがワクチンが原因で死んだかどうかも分かっていません。ワクチンを接種すると、5年後に何か大変なことが起きてしまうかどうかも分かっていません。

全て分かっていないにもかかわらず、一部分かっているから全部分かった気になっている、もしくは分かっているふりをして、緊急事態宣言をしたり解除したり、ワクチンを接種したりしています。

地球の年齢は46億年ですが、われわれが入手している気象データは100年分くらいしかありません。100年分しかないデータだけで、46億年の歴史を持つ地球の気象現象を分かった気になって、人間の排出する二酸化炭素が地球温暖化を起こしていると騒いでいます。

こういう態度を傲慢といいます。分からないことは分からないと謙虚に認めて、寛容な心で、慎重に物事を運んでほしいです。間違っても、自分が知っているつもりになって他者を批判することはやらないでほしいです。ワクチンを打たない人を変な人間だとけなしたり、産業界に対して「地球からの搾取をやめろ!」と批判しないでほしいです。そういう態度のほうが問題です。

ソクラテスは「無知の知」と言いました。無知であることを知っていることが重要だということです。「知らないこと」よりも「知らないことを知らないこと」のほうが問題なのです。分かっているつもり、分かっているふりはやめて、複雑系である自然界に対してもっと謙虚になりましょう。


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