白と黒に分けて、どちらか一方だけを信じる思考パターンは、そろそろやめにしましょう


最近は映像の仕事よりもテープ起こしのほうがメインになりつつあります。科学が得意なので、そういう分野の案件が結構回ってくるためです。専門用語があったりして普通のテープ起こしに比べて人材が少ない分、単価が高いです。個人事業主としては、たいへんありがたいです。

しかも、最先端分野の非公開の会合など、普通では絶対に聞けない内容なので、科学オタクのぼくとしてはこんなに楽しい仕事はありません。映像制作よりも、こっちを主にしようかと真剣に考えています。

先日までテープ起こしの仕事で、国内トップレベルの遺伝子研究者たちの会議音声を起こしていました。むろん、守秘義務契約を結んでいますから、内容は一切漏らせません。とにかく驚いたのは、想像以上に遺伝子改変技術が進歩しているということです。

巷では、遺伝子組み換え食品の恐怖を煽る報道があふれていますし、ちょっと宗教がかった人たちは「神の領域を汚している」と批判したりもします。気持ちは十分に理解できるのですが、もうちょっと冷静になってほしいと思います。
キャベツ
例えばキャベツだって、人間が長い歳月をかけて野生のカラシナを遺伝子組み換え(より正確には相同組み換え)してきたものです。立派な遺伝子組み換え食品です。でも、みんな安全に食べてきています。つまり、「遺伝組み換え=危険」なのではなく、危険な物もあれば安全な物もあるという理解が必要です。

遺伝子改変技術に期待されることは、食糧不足で飢餓に瀕して亡くなる人々を救うための大量で良質な食物生産を可能にする技術や、不治の病の克服などです。がんも遺伝子の病気ですから、その遺伝子を改変できればがんは撲滅できます。

最近ぼくが思うことは、何事も簡単に答えを得ようとする傾向が蔓延していることです。白と黒をはっきりさせて、どっちかを取るという思考パターンが多すぎます。こっちが善、あっちは悪とやっているから、いつまでたっても争い事がなくならないのです。それが個人レベルならば喧嘩になるし、国家レベル(あるいは宗教レベル)ならば戦争になります。

人間にも良い点、悪い点があるように、遺伝子組み換えにも良い点、悪い点はあります。完全な善、完全な悪なんてありません。白と黒に分けてどちらか一方を信じるというのはとても分かりやすいですが、同時にとても危険な思考パターンだと思う次第です。

自然界は、白と黒の二色だけではありません。多種多様な色が調和しているのです。ぼくらも、あらゆる分野でそれぞれの特徴を生かしながら、他方の欠点は他方で補いつつ、平和な社会を築いていきたものです。


“白と黒に分けて、どちらか一方だけを信じる思考パターンは、そろそろやめにしましょう” への2件の返信

  1. そういう特殊な最先端情報に触れながら、興味も満たされ仕事ができる環境は、サラリーマンではちょっと味わえない感覚かもしれないですね。
    ところで、一般報道では害悪視されがちな「遺伝組み換え」も、いろんなメリットと可能性がある観点は参考になりました。

    確かに、物事には裏表があり長所短所が複雑に絡んでいるのだと思います。そんな中でどちらも補え合える柔軟な発想と思考が大切かもしれません。
    単純な両極思想で善悪や優劣を図るのは批判や対立を招く原因にもなりかねないので、冷静さと相互に通じる心の器量を養いたいものです。

    • むろん自分の信念は大切ですし、逆にそれがなく何でもいろんな意見・主張を受け入れるのは単なる付和雷同です。自分の信念をしっかりと持ちつつ、あらゆる可能性を考える柔軟性を持つことが大切だと思います。

      野球のバッティングに似ていますかね。軸足がしっかり固定されていないと打てませんが、腰から上の上半身が自由に動かなくても打てません。

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