組織というものは、いつかは消えてなくなるものである


東京遠景
プロフィールにも書いてありますが、ぼくはかつて数十人規模の会社の社長をしていました。ただし、絶対的な権限を持っている親会社があったので、なかなか思うような経営ができませんでした。

もともとクリエイティブな仕事が好きだったので、企業経営(しかも親会社に気を使う経営)にも嫌気がさしたので、今年の1月に独立しました。

最近、その親会社が分裂の危機、倒産の危機に直面していることを知りました。その危機が現実のものとなれば、当然ぼくがいた会社もつぶれます。ぼくの率直な気持ちとしては、苦しさ半分、うれしさ半分です。

設立目的に立ち返り、コンプライアンス遵守、世代交代で寿命を延ばそう

約四半世紀も勤めた会社、しかも社長まで任された会社(と親会社)が危機的状況であることは、やはり自分の人生の大きな部分を傷付けられたようで苦しいです。また、今も残って頑張っている社員たちにも申し訳ないように感じます。

ただ一方では、「すごくグッドタイミングで辞めたもんだなあ、日ごろの行いがいいのかなあ」と、うれしくもあります。もし今もその会社の社長をしていたら、必ず親会社の騒動に巻き込まれています。「どっちの派閥につくんだ」、「あっちに行くな」とか迫られちゃったりして、精神的にはかなりきついと思います。

人間の身体には寿命があります。永遠に生きられるものではありません。会社や団体などの組織は、生体組織とは異なりますけれども、大体似たようなものです。永遠に存続する組織はあり得ません。いつかは消えてなくなります。そういう意味では、あまり悲観的にならないでほしいと思います。

むろん、できれば許された寿命を全うしたいものです。そのためには、第1に自分の人生の目的を明確に持つことと、第2に健康管理をしっかりとすることに尽きます。常に夢や希望を持って、規則正しい生活を送っていれば、天寿を全うできるものです。

会社組織、団体組織なども、基本的には同じであろうと思います。つまり、その会社や団体が設立された目的を成し遂げようとすることが第1です。

ともすると、時間の経過とともに設立目的を忘れ、「その組織の存続」を目的にしてしまう組織が多くなります。その組織がなくなってしまったら、お給料がもらえなくなってしまうから、当然といえば当然です。

しかし、その組織が設立された目的は、「そんなにちっちゃいもの」ではないはずです。世のため、人のために何がしかのことをしようという動機からスタートしているはずです。ですから、危機に陥ったときには、その原点に立ち返れば復活できる可能性はあります。

第2の健康管理、規則正しい生活は、会社組織や団体組織に当てはめればコンプライアンスと世代交代でしょう。

公のために設立された組織なのですから、コンプライアンスは必須です。常に法令を遵守し、してはいけないことは絶対にしない。特に不正や人権蹂躙(パワハラ、セクハラ)は厳禁です。そのためには「組織の透明化(秘密がなく、誰もが疑義を呈して話し合える組織)」が原則となります。もちろん、嘘はいけません。

そして、新陳代謝。いつまでも古い人間が組織を牛耳るのではなく、思い切って若い世代に運営実権を譲ることです。人間の身体の細胞だって、古い細胞は廃棄され、常に新しくなっています。会社組織や団体組織も同じです。古い者がいつまでも実権を握っていると、老化が早まるだけです。

また、若者は大きな仕事を任されることで、指導者としての器を学んでいくものです。現在、運営実権を握っている幹部も、そうやって学んできたはずです。ですから、自分がその実権を手放して若い者に譲ってあげることが、若者の器を広げてあげることになるのです。

ここら辺がなかなかできないのが、人間の悲しいところでもあります。手に入れた権力は、やはり手放したくないものだからです。でも、そうしてしまうと、その組織は確実に、しかも寿命よりも早く、あっと言う間に崩壊してしまうものです。気を付けましょう。


“組織というものは、いつかは消えてなくなるものである” への4件の返信

  1. 人には各々生きる目的があるように、参加する集合体となる組織にもビジョンや理念など、存在する価値観が明確にあると思います。
    それが円滑に機能できなくなれば所属する個々にも影響しますので、人が離れて消滅に至るのでしょうね。
    人間が成長する上で過程も変わるように、組織も段階的に興亡盛衰を経ながら発展させたいものです。

    • 組織運営というのは難しいですね。難しいですけど、それを「難しい」と言って諦め、安易な手段を選択するとたちまちつぶれてしまうでしょうね。

  2. 初めまして。いつもその教養の深さ、多角さに感心しながら読まさせていただいています。
    私は会社の倒産を3度も経験しています。なので、今回のお話はとても辛く、悲しかった時を思い起こしました。2回目、3回目の時は少し早めに退職しましたが、最初の時は最後の後処理までしなければならず、大変でした。次の仕事を探さなければならないという気持ちと、「なんでこうなってしまったのか」と悔やむ気持ちが入り混じり、むなしい日々だったと記憶しています。

    確かに、永遠に存続する組織はないのかもしれませんが、2度と味わいたくない・・・というのが率直なところですね。

    • kansukezさん。初めまして。3度も倒産を経験するというのも、めったにないことですね。心中お察しします。健康で長生きな組織づくりをしていきたいものですね。

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