霊を科学する(8)DNAも思考する



新型コロナの感染状況はひとまず安定してきたので(経済はがたがたですが)、連載していた内容を再開したいと思います。

なお、世の中の動きに合わせて、この連載は随時中断しますので、気長に先を楽しみにしてください。カテゴリー「霊界」で過去の連載を通して読むことができます。

ペンフィールドの研究は、大脳生理学の分野ではたいへんな権威を持っています。それにもかかわらず、心は脳そのものではないことに対して、納得できない人々が多いというのが実状です。それは、目に見えないものは存在しないという先入観があるからです。

しかし、目に見えなくても確実に存在しているものは、たくさんあります。空気、音、電波などもそうですが、それ以上に確実なものが、他ならぬ心です。なぜなら、皆さんの心が確実に存在することは、皆さん自身が一番よく分かるからです。

脳も心も確実に存在します。ですから、脳に関して詳しい研究を行うのであれば、心に対しても同様の考察をしなければ、科学的な比較・検討はできないのです。

心の科学的考察として、まず「心の中の絵」について検討してみましょう。

「心の中の絵」は、それを考えた当人にとっては確実に存在するものですが、他人が見ることはできません。それは「心の中の絵」が、いかなる場合でもそれを考える主体と一体だからです。考えると同時に出現し、考えることを止めれば消滅します。色や大きさも、主体が思った瞬間に自由に変えることができます。

ところが実際の「描かれた絵」は、それを見る主体とは独立しています。見ることをやめても、消滅することはありません。また、絵の具などの材料を用いず、ただ見ただけでは色や大きさを変えることもできません。

このように「描かれた絵」に代表される全ての物質(当然、脳もその1つですが)には、誰にでも感知できる「外的な形」(客観的事実)があります。それに対し「心の中の絵」に代表される心の中の事柄には、自分にしか感知できない「内的な形」(主観的事実)があることが分かるのです。

では「心の中の絵」を他人に見せるにはどうするか。それは、考えた通りに描けば良いのです。つまり作者の心の中にあった「内的な形」を、誰もが見ることのできる「外的な形」に表したものが、「描かれた絵」なのです。

心の中で、まず「内的な形」が思い浮かべられ、次にこれを「外的な形」にする方法を考えます。その方法に従い、例えば絵の具や筆、画用紙といった物的素材を用いることで、「外的な形」として表れるのです。

この「内的な形」を「外的な形」として表すという現象は、人間の心が関与するものだけにとどまりません。

例えば生物の体には、侵入した病原菌と闘う抗体というものが存在します。この抗体は、遺伝子、すなわちDNAによって作り出されることが分かっています。ところが、数百万種類もある病原菌に対し、数百種類しかないDNAなぜ対抗できるのかが、長年の謎とされて来ました。

例えば、インフルエンザであっても、今回の新型コロナウイルスであっても、毎回違うどんな侵入者に対しても、DNAはそれに合わせて抗体を作り出して、体を守ろうとするのです。DNAは一体どうやって対抗しているのでしょうか。

この現象を研究したノーベル賞受賞者の利根川進は、DNAが自らバラバラになり、適当に組み合わさって新たなDNAになることを発見したのです。つまり、侵入した病原菌の形や性質を認識し、対抗するためにふさわしい「内的な形」を思い浮かべ、「外的な形」を変えているのです。利根川博士はこの現象から「DNAも思考する」と言っています。

DNAは単なる分子の集合体であり、当然、脳を持っていません。そのDNAでさえ、心に準ずる働きをする以上、人間の心が脳に依存していると考える必然性は、全くないのです。


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