デング熱とイスラム国とヒートアイランド現象にみる歴史的な転換点


東京から広まったデング熱感染者が80人なりました。過激派組織「イスラム国」が500人以上処刑していることが分かりました。どちらも深刻な問題ですが、特に関係ない2つのニュースです。でも、ぼくはそう思えないのです。
青空
かなり以前からボーダレス化という言葉が使われています。境界が意味をなさなくなることを指します。最近、特にその傾向が激しいと思います。その象徴が、日本でのデング熱の感染拡大と、「イスラム国」の台頭です。

今やどんな国にも往来が可能となりましたから、「あの伝染病は日本に無関係」とは言えなくなりました。感染した外国人が入国してくることもあるし、海外旅行で感染した日本人が帰国することもあります。保菌している蚊や蠅が、飛行機に乗って「入国」してくることもあります。

今後はデング熱だけでなく、いろんな病気が日本で流行する可能性があるでしょう。これを防ぐためには、「鎖国」しかありません。外国から一切の物、人を受け入れなくすることです。しかし、そんなことは現実的に不可能です。

「イスラム国」もこれと似ています。彼らの主張に賛同する人が、どんどん仲間に入っています。アメリカ人ジャーナリストを公開処刑した男は、音楽活動をしていた23歳のイギリス人だといいます。「イスラム国」は、ソーシャルメディアなどにプロ並み宣伝ビデオを多数投稿しているので、世界中の若者が勧誘されているのです。

これを防ぐにはインターネットを世界中でやめるしかありません。しかし、そんなことは現実的に不可能です。誰でも見ることができてしまうのですから、防ぎようがありません。

デング熱を日本からなくしても、また外国から入って来ます。中東の「イスラム国」を殲滅しても、他の国々で彼らの主張に感銘を受けて同じことを繰り返す者が現れます。ボーダレス化した社会では、一か所で問題を解決した気になっても、根本的な解決になっていないということです。

都市部のヒートアイランド現象も同じだと思います。現代の都市では、でこぼこしたり、ぬかるんだり、埃が舞ったりする土を、アスファルトやコンクリートで覆って快適な都市を作り、暑い夏でもクーラーの効いた部屋で快適な生活をします。

しかし、アスファルトやコンクリートは土よりも外気を熱くします。また、クーラーは室内の熱い空気を外に排出するだけです。結局、自分の周りだけ快適にしようとしても、自分の周りをさらに熱くしてしまうというわけです。その結果、気候まで変化させ、都市部にはゲリラ豪雨が発生するようになりました。

要は、「自分だけ、わが家だけ、わが国だけが幸せだったらいいのだ」という生き方が通用した時代は、そろそろ終わりに近付いてきたといえるでしょう。自他非分離、すなわち自己と他者を分けることはできないと悟るべき時代にきたのでしょう。

もっと言うと、私たちが昔から馴染んできた「善悪二元論」が通用しなくなっているということでしょう。境界があることで「こっちが善、あっちが悪」と分けることができますが、境界がなくなってしまったことでそれができなくなったのです。もし世界に悪人がいるなら、いくら自分が善行を積んだとして悪人の仲間なのだということです。

今までの価値観、生き方を、根本的に変えていかねばならない、歴史的な転換点が現代なのかもしれません。


“デング熱とイスラム国とヒートアイランド現象にみる歴史的な転換点” への2件の返信

  1. イスラム国のニュースを知り、改めて宗教の教義がうまく「正当化」されたら怖いなと感じました。

    自らの教えと相容れない人々を殺すことを「信仰心」から行っているからたちが悪いですね。信仰は「信念」の最たるものだと思うのでそれに利己心が伴うとどうしようもないです。。

    • 信仰心って、もろ刃の剣ですよね。人の心を癒すこともあれば、人を傷つけることもあります。扱いには十分注意したいものです。

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