ダメ上司を安易に支えようとする部下こそ、実はダメ部下ではないでしょうか?


ダメ上司と部下とても興味深い調査結果を目にしました。『20~30代会社員200人に聞く!デキない上司の対処法 会社員7割「ダメ上司でも支える」』という記事からの抜粋です。

〈上司に持つならどちらのタイプの方がいい?〉
・「冷たいけど仕事のできる上司」派 68.0%
・「優しいけど仕事のできない上司」派 32.0%

〈優しいけど仕事のできない上司の部下になってしまった場合、どんな接し方をする?〉
・「なんとかして上司を支える」派 74.0%
・「なんとかして上司を追い落とす」派 26.0%

最初の質問への回答と、次の質問への回答が矛盾している結果になっていることが興味深いです。何が矛盾しているかというと、約7割の会社員が「冷たいけど仕事のできる上司」を望んでいるのだとすると、優しいけど仕事のできない上司の部下になってしまった場合は「なんとかして上司を追い落とす」ほうが圧倒的に多くなるはずだと思うからです。

「優しいけど仕事のできない上司」よりも「冷たいけど仕事のできる上司」を望むということは、会社では仕事が優先ということを意味しています。これは正しい理解だと思います。会社は学生のサークルや仲良しクラブではありません。社会に対して何らかの責任を担っている組織、お客さまの幸福な生活のために寄与する組織です。

サークルや仲良しクラブであれば、その中の人々が心地良いことが第一です。しかし、社会に対して責任を担っている組織は、お客さまが最優先です。例えば、飲食業でスタッフは和気あいあいと仕事をしていても、お客さまが食中毒になってしまったらNGです。自動車会社で上司がいくら優しくても、その会社の自動車が不良品で交通事故を起こしたらダメです。

そのような不祥事を起こしてしまっては、その会社の存続そのものが危ぶまれます。リストラは部下から行われます。つまり、組織を率いていくリーダー(上司)が「優しいけど仕事のできない」というのでは、部下が失職するリスクが高いのです。

確かに会社内の人間関係は重要です。しかし、仕事をちゃんとこなしていくことが会社内では最も重要なことだと、組織人であればおおむね理解しているのでしょう。それが「冷たいけど仕事のできる上司」を約7割が望むという結果に表れていると思います。

社会のためではなく、自分のために会社があると思う部下たち

そうであれば、優しいけど仕事のできない上司の部下になってしまった場合は「なんとかして上司を追い落とす」ほうが圧倒的に多くなると思うのですが、結果は「なんとかして上司を支える」が7割強でした。

むろん、上司がダメでも部下の自分たちが頑張って、会社としての責任を果たせばいいという動機であれば、うなずけないわけでもありません。そうであれば、そのダメ上司をも教育していくのだという覚悟でいなければなりません。しかし、どうやらそうでもないようです。

●「なんとかして上司を支える」派の意見
「優しいのであれば、人として尊敬できそうなので」(33歳・女性)
「いつか上司は変わるので、期間限定と思い頑張る」(39歳・女性)
「ダメな上司を支えられないうちは自分が上に立っても同じ状況になると思うから」(25歳・女性)
「上司のできないところは自分が埋めることで、自分も成長できる」(26歳・男性)
「うまく誘導すれば、快適に過ごせて、自分を認めて地位を上げてもらえそうだから」(37歳・女性)

「追い落とすのはどうかと思う」(39歳・男性)とあるように、「職場の和を大切にしたい」という人が多いよう。また、上司を支えることで、「自分のスキルアップに繋がる」「自分の評価が上がる」など、“情けは人の為ならず”と考える人も多数。

つまり、動機が「社会のため、お客さまのため」ではなく、「自分のため、自分たちの職場のため」ということなのです。自己中というと言い過ぎかもしれませんが、会社という組織の公共性に対する意識は希薄だなあと感じ、ちょっと残念でした。

ダメ上司を支えたところで、「俺はこんなに部下を使いこなせるんだ、俺にはリーダーとしての素質があるんだ、人間的な魅力にあふれているんだ」という誤解を与えかねません。かえて始末が悪くなります。「いくらなんでも、そこまで誤解しないだろう」と高をくくるなかれ。そういう誤解をしてしまうからダメ上司なのです。

ですから、ダメ上司を安易に支えようとする部下も、ダメ部下ではないかと思います。「社会のため、お客さまのために、ダメ上司を真のリーダーに育てよう。そのために、自分がたとえクビになっても仕方がない」という部下だったら優秀です。

また、その上司のことを単に嫌いというのではなく、本当に仕事ができないダメ上司であれば、その上の上司に進言して適切な役職に異動してもらうように働き掛けてこそ、優秀な部下です。それこそ、社会やお客さまのためにもなるし、その上司本人のためにもなります。

職場の和はもちろん大切ですが、その職場が社会に対してどのような責任を担っているのかを良く理解しておくことも重要です。こういう意識を持った部下こそ、将来、立派な上司になるでしょう。


ダメ上司を安易に支えようとする部下こそ、実はダメ部下ではないでしょうか?” へのコメントが 2 点あります

  1. 今回はまたセンセーショナルな記事ですね。

    私はどちらかというと、「だめな上司を支えて・・・・」という口です。

    過去に、「上司が『カラスは白い』と言ったらカラスは白い」風な
    会社にいた経験があります。「カラスは黒いのになあ」と
    思いつつも、無理に「白く見える」と思い込みながら仕事を
    していました。結局、その会社は右肩下がりで倒産になってしまいました。

    そのような経験から今回の記事を読むと・・・「その通り」と思います。
    ただ、50歳半ばになる今の私が考えると、「その通り」なのですが、
    当時の20代の私が果たして、そのように考えられたかというと、
    ????になります。

    なぜならば、さらに上の上司に気軽に「相談」できたかどうか
    わかりませんし、「実績が出ない自分」の責任が上司の指導や
    考え方にあるとは、思いもしないからです。あくまで「自分が悪い」
    「自分がもっと頑張らねば」と考えていたと思うからです。

    20代の時に、このような記事に出会えたとすれば・・・・どうでしょう。

    別な角度から考えてみますと、

    実績がとても良い社員Aさん。
    会社にも、社会にも貢献していると思いますが、机の上は乱雑で、汚れていて、会社の掃除も仕事優先でめったにしません。

    方や、実績はそんなによくありませんが、整理整頓が良くできていて、机周りもきれいなBさんは、会社の掃除も積極的に行います。。

    会社ではAさんの評価が良く、出世するのではないでしょうか。

    会社の社長経験のある京橋様・・・とう思いますか?

  2. そうですね。Aさんのほうが出世する可能性が高いですね。ただし、程度問題で、あまりにも整理整頓清掃ができないと、評価は低くなると思います。それって、人としての基本的な部分ですから。

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